映画は年に数本プラス同じものを複数回、見るくらいで、ミュージカル映画だから、ディズニー映画だから必ず見るわけではもないんですけど、
ちょっと気が向いたので、『ライオンキング』とも関係ありそうだし、と、
NHK総合「ダーウィンが来た!」放映12周年記念の、「劇場版ダーウィンが来た!アフリカ新伝説」を見てきました。
ストーリーをすべて追う、という形のネタバレではありませんが、
映画の内容に触れずに感想を言うのは不可能なので、その点ではネタバレと言えなくもないです。
(入場するときにシールもらいました)
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「劇場版ダーウィンが来た!」はどこがおすすめ?
最初に、ネタバレなくても言えることについて書きますね。
この映画、おすすめできるかどうか、ですけれど、
劇団四季のミュージカル『ライオンキング』が好きだけれど野生の動物の映像なり、動物園にいる野生動物の実物なりを、あんまりちゃんと見たことないな、という人は一度見る価値はあるんじゃないかと思います。
「ダーウィンが来た!」自体が大好きで、ずっと録画して何度も見ている、みたいな人にとっては内容のほとんどが過去の放送回の再構成版なので、目新しいものはないのではないはずです。
でも大好きだから、見たことがある映像でも大画面で見られるのうれしい、ってこともありますよね。
映画を見てよかったところ
ネタバレ、というほどでもないですが、内容には少しふれますね。
「ライオン」の生活をじっくり見られた
私は、テレビ番組の「ダーウィンが来た!」は、2016年~17年にかけて視聴していたんですが、
という点が気になったり、
ヒゲじい(キャラクター)のダジャレが苦手で(苦笑)いつの間にか見るのをやめてしまいました。
あの、すごく人気があるらしい、「ざんねん」がタイトルに入る本のこと、私はあまり好ましく思っていないのですが、テレビ番組の「ダーウィンが来た!」もそれに近い取り上げ方をしている時がありました。
一般に興味を持ってもらうためには、何か目を引く習性、形態に着目して、強調した方が目を引くし、ストーリー仕立てにしたほうが親しみやすい、というのは理解できます。
劇場版は、そういう気になる要素はわりと少なめで、『ライオンキング』が好きなものとしては興味を持てる要素が多ったので、
私は、見てよかったです。
「アフリカ新伝説」というタイトルになっていますが、内容の3分の2くらいは「ライオン」に関するものです。
ライオンのオスとメスの、子~成獣までの生活の違いの描き方は、研究成果に基づく解釈がされていると思えましたし、取り上げられた映像も、ほとんどが私が「ダーウィンが来た!」を見ていない時期のもので見てことがなかったですし
野生のライオンの筋肉の付き方や、草食動物のおなかが飼育個体よりも大きい(繊維質の摂取量が飼育下よりも多いためだと聞いたことがあります)ことも、アップの映像で見ると「おおっ!」と思います。
ライオンのメスを正面から見ると、胸筋がムッキムキなんですよ。
狩の時に、まず、顎と前あしで獲物を抑え込むからではないかと思うのですが。
あと、獲物を食べているライオンの群れを、真上から見下ろした映像で、みんな背筋がすごく発達していました。
ミュージカル『ライオンキング』1幕の、「メスライオンの狩り」でおなじみの、メスライオンだけでレイヨウを狩る様子、
ナラがサラフィナ(母)についていくように、ある程度大きくなったメスの子どもたちが狩りの練習をする様子、などがいっぱい見られました。
「映画館」で見る意味はある?
これに関しては、映画じゃなく、
映画ではなくテレビの2時間スペシャルでもよかったのでは?と思わなくもないです。
新映像ではないし、
一番古いもので007年の撮影なので、実は最近のBBC「プラネット・アース」なんかに比べると、映像がそこまで精緻できれいではありません。
ただ、テレビ放映枠だと、もっと一般受けする内容にしないといけなかったかもな、とも思います。
映画館、という空間で1時間数十分集中して見るのがいいのかもしれません。
「ヌーの大移動」は映画館のスクリーンで見るとやっぱりすごい迫力です。
映画では、季節性の移動であって暴走ではないんですけれど、それでも何万頭というヌーが一斉に移動するのを一度大きな画面で見ておくと、今度舞台を観るとき「ヨナヨナ」の場面の印象が変わるんじゃないかと思います。
ライオン以外の動物の生態も見られる
ライオンとハイエナはやっぱり縄張りや獲物を争う関係みたいですね。
この映画はライオン目線の描写なので、『ライオンキング』での描き方に近いけれど、
「ワイルドライフ」という別のNHKのドキュメンタリーでは、ライオンがハイエナの子を襲う場面を見たことがあります。
ライオンの獲物になるレイヨウ(シカっぽいけれど、ウシの仲間です)は、何種類も登場します。
ちらっとですが、ミーアキャットとイボイノシシも出てきましたよ。
キリンの足の運びは、本物と、『ライオンキング』のパペットとでは違っていて、本物は、同じ側の後肢→前肢の順番で動く「側体歩」なんですが、パペットでそれをやったらひっくり返っちゃいますね。
むしろ違う動き方なのに、キリンの雰囲気が出ているのはすごいです。
マンドリルは、サバンナの動物ではなく、熱帯雨林に住む動物なんです。
ラフィキは普段は森の中に住んでいて、儀式のときなどにだけプライド・ロックにやってくる、ということなんでしょう。
映画の内容について
ここからは、ネタばれっちゃ、そうなので、読むときにはご注意。
メインのストーリーは
自分の群れを持つまで放浪生活をする若いオスライオン「ウィリアム」
20頭の群れを率いるシルバーバック「パパ・ジャンティ」と、片腕のない子ども「ドド」を含むニシゴリラ(※)の家族
群れがバラバラになり、なわばりをもたずに一頭で子育てをするメスライオン「ナイラ」
の3本を並行して進みます。
(※ニシゴリラは種名、映画の中では通称の「ニシローランドゴリラ」を使っています)
この3つのストーリーは、
第041回「ライオン新王誕生!」(2007年2月11日)
第276回「母ライオン 頑張る! ひとりぼっちの子育て」(2012年6月17日)
第252回「思いやり いっぱい! ゴリラの大家族」(2011月11年13日)
の再構成です。
「ライオン新王誕生!」を基にしたパートは、劇場版はオスライオン「ウィリアム」を主人公にすえ、兄弟の「ワレス」は名前も出てこなかったし、「え?兄弟は?どうなったの?」って終わり方だったのですが、テレビ版では「ウィリアム」と「ワレス」兄弟がそろって新王の座についた、となっています。
テレビ版は、セレンゲティ国立公園の研究チームとNHK取材班とで、「新王誕生までの一部始終を撮影した」もので、
オスを失ったメスの群れと、次の王の座を狙って次々に放浪オス(自分の群れを持たないオス)があられ、
メスは、それらのオスたちを「群れを守れる強いオスか」テストし、時にはオス同士を戦わせて、最終的にメスたちに受け入れられたのがウィリアム&ワレス。
劇場版では、ウィリアムとその兄弟がメスたちに出会って数日後、なわばりを隣接するプライドのオスライオンがやってきて、その戦い1回でウィリアムが新王になった、という描き方でした。
また劇場版の、ウィリアムの生後2か月から群れを離れる生後1年半までの間の子ライオンの映像は、本当に同一個体のものなのかは不明。
映画の最後に説明が表示されますが、映画の内容はすべてが事実ではなく、撮影された映像を学術的な解釈に基づいて構成したフィクションが含まれています。
ウィリアム、ワレスは英語の名前、
パパ・ジャンティ、ドドはフランス語の名前、
ナイラはアフリカ人女性によくある名前なので、
愛称をつけた研究チームの国籍などに関係しているのでしょう。
この3つを行き来しながら話を進めていき、途中数回、メインで取り上げていない動物種やマダガスカル島などのアフリカの他の地域の希少動物についての短い映像が入ります。ここも過去放送の映像です。
サーバルと蛇の戦いの映像は見た記憶がありました。
感想まとめ
『ライオンキング』を、動物のお話としてよりも人間ドラマとして受け止めている人も多いと思いますし、
私も、『ライオンキング』は野生動物をそのまま描いた物語ではなく、野生動物の姿を借りた神話的なお話だと思っているのですが、
ムファサの実子であるシンバがそのままプライドに残って後を継ぐことは、野生のライオンの現実とは違うのですが、
一方でシンバがスカーと争って自分のプライドを得る、という展開は、「若いオスライオンがプライドを持つオスライオンに挑む」というところと一致します。
ライオネスたちの狩りのダンスで、マスクを外して前に突き出してさーっとと進むところににそっくりな動きもありました。
レディスデーとか、安くなる日でいいんで、見てみてほしいな、と思います。
<おまけ>
アニメ「けものフレンズ2」とのコラボしていました。
(私、このアニメも好きなんです)
そういえば、3話で突然、アニメにヒゲじいが登場して、「ダーウィンが来た!」はNHKで、「けものフレンズ」はテレビ東京なのに?って思ったんですよね。