あおなみ(@aonami491)です。『キャッツ』札幌公演2015年7月9日に開催された、終演後リハーサル見学会に参加したときのメモを蔵出ししました。
この時は、もともと前売り券を買っていた日にたまたまイベントが入ったので、とてもラッキーだったのですが、すでに予約していた飛行機の時間を遅い時間にずらしたので、ちょっと値段が上がった記憶が(笑)。でもそれだけのかいはありました!
(facebookノートに非公開で保存していたものを再編集しました。)
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「終演後のリハーサル見学会」って?
リハーサル=場当たりをその日の公演の前にやっているのは知っていましたし、今までも開演前のリハーサルに参加したことはありました。
でも、
と、最初は不思議に思ったんです。
『キャッツ』だけではなく、他演目でも終演後のリハーサル見学会を行うことがありますが、
昼公演後のイベントとしてのみ行っているいるわけではなく、本当に、本番公演の後で確認、ブラッシュアップ、新しい役に入る方の練習をすることがあるようです。
2時間40分の本番が終わった後で、体力的にはきついのではないかと思うのですが、本番中に気になったことをすぐに確認、修正する、ということも必要なのかもしれませんね。
『キャッツ』札幌2015年7月9日終演後リハーサル見学会
開演前に参加受付をして(無料です)、参加証と鉛筆(挟むタイプのやつ)をもらいます。
幕間に参加証にくっついている質問シートを切り離して提出しておくと、リハーサル見学会の後のトークで選ばれるかもしれない、とうことでこういうイベントの時には必ず提出はするのですが、まだ選ばれたことはないなー。
公演が終演したら、ロビーに出ます。25分くらい待機した後、すでにリハーサルを行っているさかなに、そーっと、客席に通してもらいました。
今回、場当たりしていたのは、「ジェニエニドッツ~おばさん猫」の後半、通称「ゴキブリタップ」。
中華鍋などをかぶり、ゴミ袋で作った羽をつけてゴキブリになった猫たちが、おばさんの指導で、手にした調理器具やブラシで掃除をする、という場面です。
舞台の下で、ダンスキャプテンの坂田加奈子さん(ディミータ役)がタップの音を確認していました。
『キャッツ』の舞台は、傾斜がついていて、猫の俊敏な動きを出すために、床に滑りやすいワックスが塗られているので、チップがついたタップシューズだと滑ってしまうそう。
(質疑応答の時間に、松出さんから説明)
坂田さんが、スロープに立ったらそのまますーっと滑り降りてしまい、笑いが出ていましたし、自分の待機場所に行くとき、田中宣宗さん(マンゴジェリー役)、齊藤太一さん(カーバケッティ役)はローラーシューズのように滑って移動をしていました。
どうしても音がばらける箇所は2グループに分けて音を確認したり、かかとの音をちゃんと鳴らすように、と具体的な指示が出ます。
みんなで合わせる合間の時間にも、自分で確認したり、馬場美根子さん(ヴィクトリア役)が岩崎晋也さん(ミストフェリーズ役)に質問していたり、みんなと違う動きをする松永隆志さん(タンブルブルータス役)と鈴木凉太さん(スキンブルシャンクス役)が二人で打ち合わせしたり、という様子も見えました。
途中、坂田さんが「3ガールズの2コーラス目から通してください」と言って、ナンバーの後半を通して見られました。
基本的には、タップのステップを中心に確認するための場当たりなのですが、それぞれのゴキブリの動きや遊び、表情もほぼ本番通りにやっていて、メイク・衣装なしでそれを見るのはかなりおもしろいです。。
松永タンブルは本番中は手のひらの上に泡立て器を立てて遊んでいましたが、リハ中は泡立て器でお掃除していました。
前列のマンカストラップ、ミストフェリーズをゴキブリたちが後ろからつついて「誰だ?!」と怒られる場面で、田中マンゴが草場コリコのせいにするのは、リハでもやっていて、「ちがう!僕じゃないっ!」という草場さんのコリコメイクなしの表情がかわいい。
タップ以外にも、坂田さんから、3ガールズとジェニエニドッツの間隔が本番中ちょっと違っていた、という指摘があって、
先週、ジェミマ役でデビューしたばかりの間辺さん(ちょっと前までタントミール役でした)が、ライトを目印にしていたのですが、ライトの左に来るのか正面にくるのかが違っていたようです。
普通の舞台は「バミリ」という位置取りのための印をつけますが、『キャッツ』の舞台にはバミリがないので、床の模様やライトの位置で覚えるのだそうです。
『キャッツ』札幌2015年7月9日リハーサル見学会後のトーク
リハーサル後、あらかじめお客が提出した質問シートをピックアップしての「質疑応答」がありました。
- 司会・松出直也さん:ランパスキャット 奈良県出身’11研究所入所、’15キャッツデビュー
- 今 彩乃さん:ランペルティーザ 札幌市出身’07研究所入所 ’14キャッツデビュー
- 齊藤太一さん:カーバケッティ/ギルバート 恵庭市出身’08オーディション合格 ’09キャッツデビュー
- 間辺朋美さん:ジェミマ/タントミール 神奈川県出身 ’12オーディション合格 ’15キャッツデビュー
- 佐野隼平さん:マキャヴィティ/タンブルブルータス 神奈川県出身’12研究所入所 ’13キャッツデビュー<
松出さんが、1、2回目の司会をしていたことは公式サイトの記事などで知っていたので、他の人に変わるかな、と思ったのですが、今回もでした。
まず、松出さんから、リハーサルしていたタップシーンについて、床が滑るのでやりにくいけれど、一人でもずれたらダメなので、それぞれが責任を持ってやっています、と説明がありました。
その後は、提出された質問シートを箱の中から選んで答えていきます。
Q:「劇団内で尊敬する人、目標にする人はいますか?」
松出さん「たっくさんいます!」
松出さんが初めて『キャッツ』を見たのが、小学生の頃、名古屋公演(’99~’01)。そのとき、坂田加奈子さんのヴィクトリアと、高倉恵美さんのタントミールがとても素敵で、今、一緒に出演しているのが夢みたいだ、というコメント。
昨年の「SONG&DANCE」のイベントでも、松出さんは、大阪公演(’02)を見て夏休みに配られたカードも集めていたと話しており、(私も集めていましたよとっくに大人でした 笑)その時にも坂田さんのヴィクトリアが素敵だったと話していましたし、4月のイベントで「恋人にしたい猫は?」という質問に「高倉恵美さんのタントミール」と即答でしたし、
坂田さん、高倉さんは、松出さんにとって、本当にあこがれの先輩なんですね。
松出さん「自分は劇団に入るまでバレエだけで、歌と芝居はまったくやったことがなくて、今もカンパニーの先輩、シンガーの人から学ぶことが毎日たくさんあります」
Q:「練習でつらいことはありますか?どうやって乗り越えていますか?夢を追い続けるにはどうしたらいいでしょうか?」
スポーツ指導者、という方からの質問です。
今さん「練習は、つらいです。いや、つらくないつらくない(笑)」
でもやっぱり好きだから、お客さんの前に立ちたい、という気持ち、それだけですね、と今さんが言うと、松出さんも、僕もです、と同意。
今さんは、幼稚園の頃から『キャッツ』出演が夢だったそうです。今、出身地での出演をして夢が叶っていますが、次の夢や目標は、何になりたい、というよりも、今の役をどうやって深めるかです、と話されていました。
Q:「猫のメイクでこだわっているのはどこですか?」
齊藤さん「僕、デビュー当時、カーバのメイク本当に難しくて、見本を見ては描き、見ては描きしていたら2時間半以上かかってしまって、でもできたのがグチャグチャで」
松出さん「2時間半メイク、って、それ本番と同じ長さですね 笑」
(齊藤さん、以前ラジオのインタビューで今は20分くらいで描けると言っていました。)
松出さん「カーバのメイク難しいですよね、色も多いし」
齊藤さん「そう、左右非対称だから。色は白、黒、茶色3色。ランパスは2色?」
松出さん「白黒です」
今さん「グレーも入れているよね」
松出さん「ぼかしに、ちょっとオシャレに(笑)グレーを使っています」
同じ白黒猫でも、マンカストラップはパープルのアイシャドウなので、猫によって少しずつ違うんですね。
佐野さん「あざみ野の稽古場での練習で、新人はメイクと衣装付きでやるんですが、『おまえのメイクは野生の猫じゃない』とダメだしされました。じゃあ、野生の猫の毛並みってどう描くんだろう、と考えました」
齊藤さんのこだわりは、「やっぱりメイクで大事なところは猫の『目』だと思うので、目を大きくしすぎず、鋭い視線が出るように、目尻をしゅっとさせています。」
イベントでは皆さん素顔なわけですが、舞台の猫メイクと比べて考えると、元の顔とメイク顔の差が少ない人と、まるで別人の人、両方いますね。
メイク自体のデザインにもよるのですが、齊藤さんのカーバメイクは元の顔がわかりにくい方だと思います。
Q:「北海道でおもしろいと思った方言はありますか?」
間辺さん「方言とは違いますが、札幌駅のことを『さつえき』というのがおもしろい」
今さん、齊藤さん「北海道ではゴミを捨てることを、投げるといいます」「そう、『ゴミステーションになげて』とか」
松出さん「ゴミステーションってかっこいい。僕は奈良出身なんですがゴミ捨てて、の意味で、『ゴミほうって』と言います」
投げる、ほうる、は同じ系統の言い方ですね。
間辺さん、佐野さんは神奈川出身で、地元には方言らしい方言はないそうです。
Q:「ずばり、猫派?犬派?」
猫派は間辺さんだけで、4人は犬派。
今さんは猫アレルギー。
佐野さんは、子供の頃、いとこの家にかわいい白い猫がいて、扱い方がわからずむやみにさわってシャーッと前腕をひっかかれ、それ以来、猫が怖い、と話していました。
他の4人が「そのシャーッとされた経験が今マキャヴィティに生きているね!」
佐野さんの実家がある、江ノ島のあたりは野良猫も多いそうです。
今さん「じゃあ、猫の観察もできるね」
佐野さん「はい、皆さんも来てください。おいしいものもたくさんありますので!」
Q:「初めて猫になったときどうでしたか?」
齊藤さん「ほとんど記憶がない・・・覚えているのは、あそこに上がって次はあそこに行って、そこにいるとあの猫のじゃまになるからダメとか、そういうことばかり」
今さん「私もほとんど覚えていないけれど、タイヤのところに立ったときは(1幕「ジェリクルソング」のメサイヤの場面)すごく有名なシーンなので『キャッツだ!』と感激しました」
今さん、おもしろいです。
松出さん「初出演のことはやっぱり覚えていなくて、家に帰って寝て、翌日起きて劇場に行ってキャッツのロゴを見たときに『これに出ているんだ』と思いましたが、1ヶ月くらい毎日それの繰り返しで、いまだに3日くらいしか出ていないような気がします」
松出さん、もう3ヶ月以上出演していますよ!
間辺さん「とても出たかった作品なので嬉しかったのですが、デビューしたタントミール役は、ほかの猫と違ってアームウォーマーもレッグウォーマーもない、つるんとしたシャム猫で、冬場の舞台袖にいるととても寒くて、出番まで長いダウンコートを着ていました。」
これには他のキャストからも「ああ、タントミールは寒いよね」という声があったので、タント役の人は皆さん「寒い」と口にされているのかも。
Q:「自分の役の前任者もしくは、今同じ役にキャスティングされている人のことは気になりますか?」
松出さん「僕は気にしないようにしています。」
松出さんが演じるランパスキャットは、演出が変わる前は「犬を蹴散らして喧嘩をやめさせる」という自分のナンバーがあり、めちゃめちゃ強い猫、という設定でした。
そのシーンがカットされてからも、ランパスがリーダーの次の位置にいる喧嘩猫、ということは「がちっと決まっている」のだそうです。松出さんは見た目「いかにも強そう」ではないので、ランパスのキャラクターと自分の引き出しから出したものとのすりあわせのバランスが難しく、その上に他の人のランパスのイメージが入りすぎると、(ランパスとしての)自分を生きることにならない、と考えているそうです。
私が13年間見てきた中で「めちゃめちゃ強い」と見た目で思えたランパスは、いないような。若かったり、ひょうひょうとしていたり、小柄だったり、でも、どのランパスも、いざというときにはリーダーを支える要になる、という「居方」をそれぞれの個性でみなさん、演じてこられていると思います。
今さんは、「ランペルティーザ役は歴代小柄な人が演じてきたのに、自分は160cmを超えていて、ランペルとしては大きいんですよね。キャスティングされたとき周りから『ランペルやるの?大きいね』と言われたこともあってずっと気になっていました。
ランペルは子猫(こども!ではなく思春期の少女)なので、小さく見せるにはどうしたらいいかばかり考えて、役がわからなくなってしまい、じゃあ、自分のままで、と演じると大人っぽくなってしまう、と試行錯誤したけれど、今は、ランペルのここは自分と似ていると思える部分が見つかって、楽しい」と話していました。
佐野さん「僕はマキャヴィティ役としては小柄なことで試行錯誤中です」
マキャヴィティ役は、過去劇団四季では180cmくらいある人が演じることが多く、BW初演キャストは2mくらいある黒人だったと聞いて、自分は174cmなので、どうやったら、迫力やインパクトが出るのか考えています、とのこと。
佐野さん「ちっちゃな猫が、にゃあっ!にゃあっ!とやってるみたいに見えないように」
と、身振りでネコパンチをしていたのがかわいかった。
いつも、犯罪王マキャヴィティに、張り飛ばされたり、引きずり回されたりしている共演者のみなさんは「そんなことない、迫力あるよ」「佐野君のマキャヴィティ怖いよ」
観客の目から見ると、佐野マキャヴィティは、犯罪王の場面では、動きが大きく勢いがあると感じています。側転もアルゼンチンバックブレーカーも、小柄な分、スピード感を重視しているのではないかな。
普段黄色い猫としてみんなと一緒にいるマキャヴィティの時は、とにかく元気。ゴキブリタップも、舞踏会のダンスもヴィクトリアを誘うのも、力一杯、めっぱい、元気な若い猫で、いつも楽しそうです。
そういえば、佐野さんはタンブルの時も、元気で恋人のカッサンドラ一筋で、「若いね!」という感じなんですよね。
佐野さんは「先輩や、同じ役の人から盗めるものは盗んで、僕が今できるマキャヴィティを作っていきたい」とコメントされていましたが、若いからこそできることってあると思うし、「何をしようとしているのか」が舞台でもわかりますし、とても素敵だと思っています!
’13年静岡公演で、猫がロビー見送りしてくれたとき、佐野マキャヴィティ(黄色い猫のほう)と握手してもらいましたが、確かに、向かいあってもあまり大きくない方なんだな、とは思ったんです。今は当時より、がっちりした体型になられています。
齊藤さん、間辺さんの話も伺いたかったのですが、残念ながら時間切れでした。
この後、松出さんから、次のイベントの案内と、平日夜公演の割引価格の案内がありました。
そして、最後に、俳優さん5人が、3人、2人に分かれて、客席出口で握手&見送りしてくださいました。
私は上手側の出口で、松出さん、今さんと握手していただきました。
ランパスキャットは札幌公演では握手にこない猫ですし、ランペルティーザが握手にくる席に座ることも当面なさそうなので、今回その機会があってよかったです。
終演後まで本当にありがとうございました。フライト時間を変えて参加してよかった!
補足
「ジェニエニドッツ~おばさん猫」のタップダンスは、2018年東京公演でリニューアルされて、このメモに書いてある、
- スキンブルシャンクスとタンブルブルータスだけみんなと違う動きで、舞台奥のタイヤまで下がり、そこでさぼっていたりする
- マンカストラップとミストフェリーズをゴキブリたちが舞台から追い落とす
という場面が今はないんですよね。
それから、イベント内容とは直接関係ない感想ですがこの日、初めて宮田愛さんのタントミールを見て、その細さと、現実のものとは思えない頭と手足の比率が衝撃でした。
アラジンの女性アンサンブル1枠のときも「頭小さい・・・」でびっくりしたんですけれど。
『キャッツ』札幌公演2015年7月9日のキャスト
グリザベラ | 佐渡寧子 | オールドデュトロノミー | 平良交一 |
ジェリーロラム=グリドルボーン | 岡村美南 | バストファージョーンズ/アスパラガス=グロールタイガー | 橋元聖地 |
ジェニエニドッツ | 加藤あゆ美 | マンカストラップ | 加藤 迪 |
ランペルティーザ | 今 彩乃 | ラム・タム・タガー | 飯田達郎 |
ディミータ | 坂田加奈子 | ミストフェリーズ | 岩崎晋也 |
ボンバルリーナ | 花田菜美子 | マンゴジェリー | 田中宣宗 |
シラバブ | 岩城あさみ | スキンブルシャンクス | 鈴木涼太 |
タントミール | 宮田愛 | コリコパット | 草場有輝 |
ジェミマ | 間辺朋美 | ランパスキャット | 松出直也 |
ヴィクトリア | 馬場美根子 | カーバケッティ | 佐野隼平 |
カッサンドラ | 藤岡あや | ギルバート | 新庄真一 |
– | – | マキャヴィティ | 佐野隼平 |
– | – | タンブルブルータス | 松永隆志 |