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劇団四季ファミリーミュージカル「むかしむかしゾウがきた」2015年1月3日観劇メモ

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劇団四季ファミリーミュージカル「むかしむかしゾウがきた」2015年1月3日の観劇感想です。
「むかしむかしゾウがきた」を初めて観た、2014年12月20日の感想も交えています。

※過去にFacebookで非公開ノートに書いていたものを再編集しました。感想は基本的にはその時のものです。また、感想はネタバレです。

あらすじなど、作品全体についてはこちらの記事にまとめました。こちらは公演プログラムに書かれている以上のネタバレはありません。

子どもと行きたい・劇団四季ファミリーミュージ「むかしむかしゾウがきた」はここが楽しい!劇団四季ファミリーミュージカル『むかしむかしゾウがきた』の初演は1980年の日生名作劇場。 1990年にはパルコ劇場で上演されました。...

劇団四季ファミリーミュージカル「むかしむかしゾウがきた」2015年1月3日のキャスト

ひろめ屋 飯村和也 与作・家老 岡崎克也
太郎坊 島村幸大 松吉・殿様 鈴木 周
太郎衛門 青山裕次 七郎 田島康成
おゆき 中野今日子 敵兵頭 川村 英
おミヨ 山中由貴 九郎衛門 伊藤 源
ゴンじい 菊池 正 九郎衛門 岡田匡平
男性アンサンブル 女性アンサンブル
唐の国のお使い 高城将一 森 真琴
齊藤太一 熊本梨沙
寒河江幸弘 小澤真琴
玉木隆寛 大橋里砂
野口雅史 五所真理子
二村誠俊 高木美千子
若山展成
松尾 篤

劇団四季ファミリーミュージカル「むかしむかしゾウがきた」2015年1月3日の観劇感想

「むかしむかしゾウがきた」を初めて観たのは2014年12月20日の昼公演です。
その時は4日前くらいにSHIKI-ONLINEで上手19列目くらいの席を取ったのですが、とてもおもしろかったので、お正月明けに再度観劇しました。

今回は前日予約なので、4列目です。

まず、俳優さん2人が入って動かしているゾウが思っていた以上にリアルで、表情がかわいい。
大人の目で見ると、そりゃ、本物でないことは一目瞭然ですが、
動いているのを見るうちにだんだん、本物に見えてくるんです。

ゾウと仲良くなる少年(一応、本作品の主役、といって良いと思います)太郎坊役は島村幸大さん。

2015年5月開幕の『アラジン』でアラジン役候補に決まっていて、
今までは『ライオンキング』シンバ役で出演されているのですが、私は『ライオンキング』では見たことがなく、初めて舞台で見ました。

太郎坊は素直で元気な男の子。初めて触れた巨大な動物「ゾウ」にもものおじすることなく、すぐに仲良しになります。

島村さんは音大行かれているし、シンバ役だし、シンガーかダンサーかといえばシンガーだと思いますが、太郎坊はソロの歌がありません。
おミヨちゃんと二人で歌う場面はありましたが、お芝居が中心の役なんです。

太郎坊、おゆき、九郎衛門の逃避行の場面は人形浄瑠璃のような演出で、

道が進むにつれて

小さな人形⇒大きな人形⇒人間

と変わっていきます。

島村さんは、日本舞踊の名取なのですよね。

私は日本舞踊の動きには詳しくありませんが、島村さんの人形振りや、その他の場面でも着物を着ている居方は自然できれいだと感じました。

歌のソロの長いパートがあるのはひろめ屋とおミヨだけ。

中でもひろめ屋は、和風アレンジされているけれど西洋音階の一般的なミュージカルの歌だけではなく、地歌や、口上もあるのでかなりの難役だと思います。
演技面でも、その時代に生きている人間の一員でもあり、狂言回しとして舞台と漢訳をつなぐ役目でもあり、出番も多い。

飯村さんのひろめ屋は、職人や農民とは違う、ある種のいかがわしさや、それゆえの色気も感じさせて素敵でした。

おミヨちゃんは、ファミリーの作品のヒロインらしく、優しくて芯の強い女の子ですが、ランペルティーザ役が可愛い山中さんが演じるとおちゃめな感じもします。
トラブルに巻き込まれまいと九郎衛門を見捨てようとする大人たちに、ゾウも私たちと同じように生きている命なんだよと訴えます。

彼女の背景には両親を亡くしている寂しさがあります。
他の子たちが親と一緒に九郎衛門を見物に行く中、一人で畑仕事や手仕事をして孫を育てているおじいちゃんは、忙しくて遠くの町まで一緒に行ってはくれません。
とうとう、おミヨちゃんは黙って村から町に野菜を運ぶ牛車に乗ってきてしまいます。

そこで、太郎坊の家に一晩泊まることになり、彼女は、賑やかな家庭の空気や大きくて優しい目をした九郎衛門の包容力を、暖かい思い出として大切にしていて、九郎衛門をどうしても助けたかったのでしょう。

おミヨの祖父、ゴンじい役は菊池さん。菊池さん、私が四季を見始めたころはダンサーで、「コンタクト」初演キャストだったんですよね。
最近は、年配の男性役で活躍されています。でも、ちょっとしたダンスシーンがやっぱりキレキレです。

予告動画で、唐の国のおつかい役であることが分かった高城将一さんは、九郎衛門の回想シーンでの、インドの森のトラ、中国雑伎団の人、そして、村が襲撃されるシーンで南の国の兵も演じていました。

『キャッツ』ランパスキャット役では男性とは思えないくらいの柔軟性のあるきれいなポーズが印象的だった高城さん。
雑伎団のシーンでも、宙返りや、Y字バランスじゃなく「I字バランス」に見えるくらい体にぴったりつく角度で左足を頭の後ろから右手でとり、そこからさらに三日月型に身体をしならせる、という技を見せてくれました。

中国の外交官、「唐の国のお使い」は最後の一言以外は中国語で話すんです。
ゾウをこわがる町の人達に、唐の国のお使いが話しかける場面は字幕や通訳はなくて、観客にも正確な意味は(北京語が分かる人でなければ)分からないんですが、そのことによって町の人たちの異文化に触れた感覚が観客にも共有されます。
唐の国のお使いの言葉の意味は分からないけれど、「怖くはないよ」「もっと近くに来てごらん」と言っている雰囲気も伝わってきます。

殿様との謁見の場面は、家老(岡崎さん)が通訳しますが、唐の国のお使いは、実は殿様の日本語をすべて理解して、分からないふりをして殿様の本音を聞いている、したたかさを持っています。

私がこの作品で一番好きな場面は、太郎衛門・おゆきがゾウの世話係を引き受けることを渋って家老とやりとりしている間に、後ろで、唐の国のお使いが、太郎坊に「坊や、ゾウに乗ってみない?」と誘いかけて町の大人たちも手助けして太郎坊が九郎衛門に乗るところなんです。
ここは、唐の国のお使いは、外交官としての駆け引きではなく、本当に九郎衛門を大切にしてくれる人に託したかったんだろうと感じています。

インド舞踊のセンターダンサーは、敵兵頭役でもある川村さん。忍者・黒鍬隊でも動きがとてもかっこよかった。

殿様役の鈴木さんは、おミヨが暮らす北の村の村人で、九郎衛門を助けることに反対する松蔵役でもあります。

鈴木さんは、こういう悪人ではないけれど人間の弱さや姑息さを体現しているキャラクターでの出演が多い気がします。
七郎役の田島さんもわりとそういう役が多いかなあ。この七郎は、自分の意見は言わずに松蔵の尻馬に乗っているいわゆる内股膏薬です。

2幕最初の、雪解けを待つ村の様子では、松蔵も七郎も、他の村の人たちと協力し合って雪かきなどの作業をしているんですよ。
村の中で、悪い人とか嫌な人、と見られているわけではないし、縁もゆかりもない九郎衛門をかばって殿様の命令に逆らったり戦に巻き込まれたりする面倒を避けたい、というのは、必ずしも不自然な気持ではないんですよね。

今の日本なら、さすがに戦(内乱)はまあ、ないとして、地震などの災害にあったときに、飼育動物の命にどこまで守れるのかというと、絶対に動物も100%助けるべき、とは言えないだろうなあ、だから、単純に松蔵を嫌な人、悪い人、と考えられないのが大人の私。
まあ、舞台で見るとめっちゃ感じ悪いんですけれど(笑)。鈴木さんも田島さんもそういう役がうますぎる・・・

九郎衛門が力尽きる場面は、2回見て2回とも目の幅で泣きました。

人間の都合でもてはやされたり、ジャマにされた挙げ句に殺されようとする動物、という点では、犬や猫などの身近な動物の身に置き換えてもいろいろ考えさせられます。

そしてこのお話、九郎衛門のことだけではなく、
お殿様は逃げてしまい、太郎衛門の生死も不明で、そうとうビターなエンドなんですが、個人の力では動かせない運命に対してどう生きるか、というテーマでもあるな、と思いました。

ひろめ屋が「みんなで(みんなの心の中の)九郎衛門を呼びましょう」、と声をかけ、客席も一緒に「九郎衛門!」と呼び掛けて、再び九郎衛門が現れてからは、他のファミリーミュージカルと同様に楽しいカーテンコールになり、コミカルな場面もあって、ロビー見送りまで楽しくすごせます。
九郎衛門役の俳優さんが、最後に黒衣で登場して後ろを向くと・・・のオチ(というのかな?)が好きです。

太郎坊役:島村幸大さんのインタビュー

「むかしむかしゾウが来た」東京公演の時、Allaboutに掲載された、島村さんのインタビュー(インタビュアーは松島まり乃さん)です。

「気になる新星インタビューvol.10 島村幸大」
https://allabout.co.jp/gm/gc/450248/all/

昔の子どもであり、武士の子である太郎坊は、現代もののファミリーの子ども役とはまた違った難しさがあるのだと思います。
「ゾウ」との出会いの場面も、現代の日本の子どもなら本物のゾウを近くで見る機会を持つ前に、テレビ・ネット動画・絵本などで「ゾウ」のイメージがあるはずですが、太郎坊はまったくそういうものを持たない状態でゾウに出会って、心を通わせられるんですよね。

島村さんは、昔の子らしい素朴さや率直さがあって、自分のできることに対してひたむきな、魅力的な太郎坊だったと思います。
インタビューにも子供役に合わせて体重を落とした話がありますが、ちゃんと子供に見えて頭のてっぺんを結んでいる髪形が可愛かったです。

劇団四季ファミリーミュージカル「むかしむかしゾウがきた」イベント

1月3日の観劇では、年賀状プレゼントと、年始特別口上がありました。

小さい写真ですが、島村さんは後列左から4人目です。
前列左端の男性が玉木さん。
1月3日の公演には出演してませんでしたが、前列右から5人目(忍びの4人目)政所和行さんも写っています。

そういえば、2005年くらいは、年始は、『ライオンキング』は『キャッツ』でもカード型のカレンダーや缶バッチなどのプレゼントがあったり、特別口上があったりしたのですが、最近はやらなくなっていますね。

まあ、カード型カレンダーが特にほしい、というわけではないですし、
ブロードウェイ作品で、歌舞伎調の口上はちょっと合わないような気もします^^;

「むかしむかしゾウがきた」はそもそも、歌舞伎のような和風演出の作品なので、ひろめ屋役飯村さんの口上が作品の雰囲気にぴったりでした。


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