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子供と行きたい・劇団四季ファミリーミュージカル「王子とこじき」はここが楽しい!

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この記事では、劇団四季ファミリーミュージカル「王子とこじき」の、見どころについてまとめています。

「王子とこじき」の初演は、1967年。当時、劇団四季演出部にいた石坂浩二さんが脚本を手掛けています。
私が初めて観たのは2015年8月の自由劇場での東京公演です。

<ファミリーミュージカル「王子とこじき」の見どころ>
ほんとにそっくり!だけれど違う、王子とこじき

古典的な「他人の空似もの」のおもしろさ

抽象的な演出や、衣装の美しさ

意外とシリアスでハードなお話

「一緒に歌ってキャラクターを応援する」客席参加型の演出

史実との関係を調べても楽しい

小さなお子さんと一緒に、また、大人だけで観ても、見どころ・考えさせれる点も多く、ぜひ「作品」として楽しんでいただきたいです。

ファミリーミュージカルは何才から観られるの?どこで上演しているの?などについてはこちらにまとめました。

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✔️行く前に読んでおきたい・子供も大人も楽しい劇団四季ファミリーミュージカルを全力解説!7/18更新 劇団四季ファミリーミュージカルのおすすめポイント、上演作品について...

劇団四季ファミリーミュージカル「王子とこじき」ってどんな作品?

原作はマーク・トウェインの同名小説。

「王子とこじき」のあらすじ

16世紀のイギリス、ロンドン。
こじきの子トム・キャンティは10才。エドワード王子と同じ年同じ日に生まれたと知ってから王子やお城の暮らしに憧れて毎日王子ごっこをして遊んでいました。

エドワード王子は病気の父ヘンリー8世を案じていますが、お城では親子であってもいつも一緒に過ごすわけではありません。
エドワードは町の暮らしに憧れていました。

ある時、偶然出会ったトムとエドワードはお互いが、まるで自分を見ているように瓜二つであることに驚き、服を取り換えっこして、「王子がトムをお城の自分の部屋に招く」ということにします。

王子は、部屋にあったクルミを食べようとしたトムの手に傷があり、番兵に傷つけられたことを知って腹を立てます。
大切な大印章を役人に悪用されないように隠し、番兵を叱りに行きますが、こじきの服を着ていたために追い出されてしまいます。

一方、部屋に残ったトムを見て、グレイ姫やハーフォード伯爵たちは王子だと思い込み、「自分は王子じゃない」と言い張るトムを頭がおかしくなった、と思います。

町では、いよいよヘンリー8世の病状が悪くなった、といううわさが流れてきました。
王の悪口に怒り、自分は王子だと訴えるエドワードですが、誰にも相手にされず、町の男たちに襲われてしまいます。
それを助けてくれたのが、マイルス・ヘンドンという準男爵の男です。

男たちが二人をさらに攻撃しようとしたとき、鐘が鳴り、ヘンリー8世の崩御と、エドワード6世の即位が発表されます。
ハーフォード伯爵の隣で困り切った顔をしているのはトムです。

マイルスは、エドワードが王子だとは信じていませんが、エドワードの凛とした態度に何かを感じて信じた振りをしよう、そして自分の故郷に連れて行こうと考えます。

ところがその後二人ははぐれてしまい、
エドワードは、トムの父親ジョンに泥棒の隠れ家に連れて行かれます。
エドワードが自分は王子だ、というと、泥棒たちは無実の罪の罰で役人につけられた傷を見せて王を責めます。
エドワードは本当に悪いのは法律を悪用している役人だと言い、泥棒たちと決闘になります。

エドワードが勝ったので、泥棒たちは、エドワードを王だと認め、エドワードもお城に戻ったら身なりや身分で人を差別しないようにする、と約束します。

そこにエドワードを探していたマイルスも現れるのですが、
踏み込んできた役人たちに、マイルスとエドワードが捕まってしまいます。

2人は泥棒たちの食い逃げの罪を着せられて牢屋に入れられてしまいます。
マイルスがエドワードの身代わりとなって、3日間手枷足枷につないでさらされることになります。

3日間が過ぎ、釈放された二人は、役人から今日がエドワード6世の戴冠式だ、と聞かされ、急いお城に向かいます。

戴冠式ぎりぎりで、式典の場に現れたエドワードを見て、人々はびっくりします。
ハーフォード伯爵は、大印章のありかを知っているものが本物のエドワード6世だ、と言いますが、エドワードは大印章を隠した場所を思い出すことができません・・・

あおなみ
あおなみ
実は、公演プログラムのあらすじには、結末までネタバレで書かれているのですが(笑)ここまでにしておきますね。

「王子とこじき」のキャラクター

エドワード王子:
ヘンリー8世の跡継ぎである王子。病気の父を心配していますが宮廷のしきたりで一緒に暮らすことができず、小さな家で家族が一緒に暮らすことに憧れています。
こじきの姿であっても王子らしく振舞い、周りに信じてもらえなくてもはっきりと意見を言います。

トム・キャンティ:
こじきの子。王子と自分の生年月日が同じだ知って、お城での暮らしにあこがれています。
王子に間違われて次期国王になることになってしまいますが、どうにかしてエドワードが本当の王子だとみんなに伝えようとがんばります。

マイルス・ヘンドン:
準男爵。正義感が強く、町の男たちとけんかになったエドワードを助け、その後も王子だとは信じられないながらエドワードを守ろうとします。

<お城の人たち>

ハーフォード伯爵:
国王の側近。見た目と、決まり事をものさしにしています。

グレイ姫:
お城に住んでいるお姫さま。エドワードの服を着たトムが王子ではないと言い張るのを見て、エドワードは頭がおかしくなってしまったと思います。

ヘンリー8世:
エドワードの父。病気で心が弱っており、法律を悪用する役人を放置しているので国民から悪く思われています。

セント・ジョン:
エドワードのお世話係。周囲に流されがち。

<こじきと泥棒たち>

トムの母:
トムを心から愛しているお母さん。トムの服を着たエドワードは、自分の子どもではないのではないか、と考えます。

ジョン・キャンティ:
トムの父親。こじきで泥棒。大酒のみで、息子を殴ることもあります。人は悪くない、といいますが・・・

ユーゴー親方:
泥棒たちの元締め。お城の役人を恨んでいますが、決闘に勝ったエドワードを王様だと認めて、助けると約束します。

「王子とこじき」のテーマ

人を身なりや姿かたちで判断せずに本質を見ること、周りに流されず、いつもで本当のことを言う勇気を持つこと

がこの作品のテーマです。

「人間は見た目が9割」という本がありますが、私はわりと、内面は見た目に出ると思っているんですよ(笑)。
でも、「王子のこじき」での「人を身なりや姿かたちで判断しない」は、もっともっと、表面的な属性のことを指しているんですよね。

服装を変えても、トムは王子らしく振舞えないし、エドワードはトムの母に甘えたり父親に対して要領よく立ち回ることはできない。ほとんどの人達は気づくことはできませんが、マイルスはそのことを感じ取り、エドワードに話を合わせているつもりが次第に本当にエドワードの臣下として主君として守る、というポジションに変わっていきます。


劇団四季ファミリーミュージカル「王子とこじき」の見どころ

音楽やダンス、衣装、セットのイメージは、公式PVを見てみてください。

上のPVの中で、びっくりしたカエルみたいな動きをしているのが「トム」です。
トムはおどろいたときにこの動きをするクセがあり、トムの母は驚いてもクールな様子のエドワードを見て「自分の子どもでない」と考えるようになります。

本当にそっくり!だけど違う

こじきのトムと、エドワード王子を演じる俳優さん(女性)はふたごではないのですが、メイクとかつらでまるで本物の双子ふたごのように見えます。

子供のお客さんからはロビーでのお見送りの時「本当のふたごなんですか?」とよく質問されるそうです。眉毛と目の形をメイクで揃えるのがコツらしいですよ。
ロビーでのお見送りのときに、ぜひ近くで会ってみてくださいね。

ところが、姿かたちはよく似ているのですが、二人の居方の違いが姿勢や動きに出ているのは、PVでもよくわかります。

トムは毎日生きていくために「稼がなきゃならない」し、エドワードは、父が病気であり近い将来自分が王位につくことを知っている王子です。

子供、といっても、現代日本の10才の、家庭や社会における「子供、小学生」という立場とはかなり違いますが、世知に長けているけれど擦れていなくて素直なトムと、常に毅然としているエドワードは、それぞれに魅力のあるキャラクターです。

抽象的な演出や、衣装の美しさ

トムとエドワードが出会う場面は、具体的ないきさつが語られていません。

お城の暮らしに憧れるトムと日々の食べ物もままならないこじきたちの生活と、

母親はすでに亡くなり、病気の父とは離れて暮らし、子供ながらすでに次期国王としての責任を背負っているエドワードと、お城の人達の虚飾に満ちた暮らし。

主人公2人の対照的な境遇が、同じ旋律の歌と洗練された踊りで語られ、その2つが次第に交叉して、その中でトムとエドワードが出会います。

この部分の演出は、台詞やナレーションでベタな説明がなくて、とても洗練されています。後から考えると、「あれ?2人が直接接することになったのはどうして?」と疑問に思わないこともないですが(笑)。

原作では、ウェストミンスター寺院の前で出会ったことになっているようなので、王子が何かの行事でお城の外に出たときに、といったことなのでしょう。

衣装やセットは、子供の目にもキャラクターの違いがよくわかるはっきりした色合いながら、重厚感もあってとても美しいです。
この衣装も、お見送りの時には近くで見られますので、お楽しみに。

意外とシリアスでハードなお話

「勇気をもって本当のことを言おう」というテーマは「王様の耳はロバの耳」と同じなのですが、

主人公の床屋が脅されて本当のことが言えずに悩む、「王様の耳はロバの耳」とは違い、トムとエドワードは最初から一生懸命に本当のことを言っているのに相手にされません。

ちょっとしたいたずら心からとんでもないことになってしまい、周りに信じてもらえない、というのは子どもにとって底知れない不安感を与えると思うのですが、さらに、エドワードは物理的に暴力を振るわれたり、無実の罪を着せられる、という恐ろしい目にも合います。

子供向けとしてはけっこうハードなストーリーだからこそ、勇気をもって本当のことを言う、という行動の重さも伝わってくると思います。

そして、エドワードとマイルス・ヘンドンの関係は、信じてくれる人がいることの心強さと同時に、信じてこの人に掛けようと思える相手がいることが人を強くしてくれることも描いています。

マイルス・ヘンドンがとにかくかっこいい!

「王子とこじき」には、お城の貴族、役人、トムの両親、こじきたち、ヘンリー親方、泥棒たち、牢屋の囚人たち、とさまざまな大人が登場します。

その中で、エドワードを助けるマイルス・ヘンドンは、唯一のかっこいい大人の男性なんです。

正義感が強いマイルスは、大勢の大人に襲われているエドワードを放っておけなくて助けますが、実は物語の終盤になるまでエドワードを王子だとは意識の上では信じていません。
それでも、エドワードの態度に何かを感じてエドワードを守るために身代わりになります。

準男爵は身分上は貴族ではなく平民なのでマイルスの口調や態度は貴族的ではなく、例えると、腕の立つ着流しの浪人、という感じで、辛い時もユーモアを忘れないところもかっこいいです。

客席参加型の演出

「王子とこじき」では、2幕の最初に、王子の姿になっているトムと、乞食のこどもたち(本当はトムの友だちですが、トムを王子だと思っています)とのやりとりに続いて、テーマ曲「真実の歌」を客席が一緒に練習します。

そして、クライマックスの、戴冠式で、トムとエドワードが、本当のことを周りに訴えるときに、客席もトムたちを応援して一緒に歌います。

終演後、ロビーでのお見送りはすべてのファミリーミュージカル作品と同じように、「王子とこじき」でも行われますので、お気に入りのキャラクターとぜひ近くで会ってくださいね。

史実とのつながりを調べても楽しい

「王子とこじき」には、実在の人物が何人か登場しています。

ヘンリー8世、エドワード6世はチューダー朝の王、
グレイ姫は、ポール・ドラローシュ作「レディ・ジェイン・グレイの処刑」に描かれた、ジェイン・グレイがモデルです。

「恋に落ちたシェイクスピア」に登場するエリザベス1世は、エドワードの異母姉にあたります。

「王子とこじき」では、エドワードのキャラクターなどは、史実とはかなり違っていますが、小学校高学年以上からならモデルとなった人物について調べてみるのも楽しいと思いますよ。

劇団四季ファミリーミュージカル「王子とこじき」はここが楽しい! まとめ

「王子とこじき」は、マンガ「ガラスの仮面」では劇中劇で、姫川亜弓が子供向けの舞台で、トムとエドワードと一人二役を演じています。
原作を通して読んだことはなくてもなんとなく、身分違いのそっくりな2人が入れ替わるという話は知っているのではないでしょうか。

どちらがどちらか分からなくなることから起こる騒動はそれだけでも事件で、物語になるのですが、「王子とこじき」では単なるドタバタではなく、その騒動を通して、身分や身なりという属性だけで判断して相手の本質を見ないことや、無実の罪を着せられてしまうことの恐ろしさなどシリアスな問題に触れながら、本質を見極めようとすること、勇気をもって本当のことを言うこと、をテーマにしています。

16世紀という時代的背景もありますし、現在でも王・貴族が存在するイギリスが舞台のお話なので、身分制度そのものは問題視はされません。

むしろエドワードを通して、王族が王族としての役割と責任を果たすノブレス・オブリージュと、マイルスを通して、信義を貫く騎士道が、肯定的に描かれています。

「王子とこじき」では、笑いを起きる場面もありますし、泥棒たちのアクロバティックな動きや、剣での殺陣など、見ごたえのあるシーンも多いです。


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