2018年11月26日(月)~11月30日(金)、12月3日(月)~12月3日(金)
の間(一般公開は11月27日から)期間限定オープンしている「分身ロボットカフェ」、『DAWN Ver.β』に行ってきましたので、その体験や考えたことを3回に分けてまとめます。
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なぜ「四季ノート」で「分身ロボットカフェ」なのか?
このブログでは、劇団四季のファンである管理人のあおなみが、主に劇団四季観劇に関することを書いているのですが、今回「分身ロボットカフェ」での体験をレポするのは、
と感じ、それをまとめておきたかったからです。
レポートは
1.分身ロボット「OriHime」について
3.観劇分野でのロボットの可能性
の3つに分けました。
こちらの記事では「1」で、
分身ロボット「OriHime」はどんなロボットなのか、どんな風に操作して、何ができるのか、などをまとめます。
視線入力の操作体験もおもしろかったです!
分身ロボットカフェ『DAWN Ver.β』について
『DAWN Ver.β』は、OriHime-Dというロボットを遠隔操作して、病気や障がいなどで外出が困難な人たちが、「カフェで働く」という実験的な取り組みです。カフェの当日チケットを購入した時には、こんな紙をもらいました。
また、カフェのコンセプトは、『イヴの時間』というアニメ(コミカライズ、ノベライズあり)とコラボレーションしていて、
カフェの入口の看板には、作品中のカフェ「イブの時間」の看板と同じ文言がありました。
当店内では人間とロボットの区別をしません。ルールを守って楽しいひと時を・・・
分身ロボットOriHime
このカフェのホールスタッフは、OriHime-Dというロボットで、ロボットを操作するパイロットは、難病や身体障碍のために外出が困難な人たち、10名です。
パイロットは、それぞれ日本各地の自宅などからOriHime-Dを遠隔で操作します。
OriHimeは、株式会社オリィ研究所が制作した
離れた場所にいる人の分身となりその「存在感」を伝える新感覚ロボット
です。AIで動くのではなく、「人間」がPC、スマホ、タブレットなどを使って操作します。
従来タイプのOriHimeは、高さ約20.5㎝。とても小さくてかわいい。
カメラを通してOriHimeの周囲の映像を見る
マイクを通して周囲の音を聞き、自分の声を伝えることができる
首を上下左右に動かす
手を動かす。「拍手」「なんでやねん」などの決まったモーションの他、自由に動かすことも可
一台のOriHimeには複数の人がユーザー登録できます。
事務所の受付業務などを、時間帯や日によって担当者を変えて行う
各地の拠点に置いたOriHimeに、一人の人がアクセスすることも可能です。
ex.全国各地の事業所で会議に参加したり、メンバーとコミュニケーションを取ったりできる
実際の使用例として、
長期入院している子どもが学校のOriHimeでにログインして授業を受けたり友達と遊んだりする
海外在住の人が日本のオフィスに「出社」する
難病の人が、外でのイベントに参加したり旅行したりする
といった事例があるそうです。
今回カフェでスタッフとなっているOriHime-Dは、身長120㎝。
カメラを通してOriHimeの周囲の映像を見る
マイクを通して周囲の音を聞き、自分の声を伝えることができる
前後の移動、旋回による方向転換ができる
トレーに置いたものを運ぶことができる
手や首を動かす
上の写真で床に黒いラインがありますが、
今回のカフェでは、OriHime-Dは、このテープをレールのように使い、ここをたどって動くようになっていました。
Orihime操作体験
分身ロボットカフェ『DAWN Ver.β』の横には、Orihime操作体験ブースがありました。
自分がカフェを利用する時間の、30分ほど前に日本財団ビルまで戻り、操作体験をさせてもらいました。
タブレットを使ったOriHimeの操作
(12月5日再訪時撮影)
タブレットを使った操作は、手を使うので、ゲームのコントローラーとそんなに変わらないイメージです。
スタッフの方が、オリィ研究所の事務所のOriHimeにログインして、事務所の人たちと話す様子も見せてもらいました。
Skypeなどと違う点は、OriHimeを操作する側は、モニターを通して相手の顔や事務所の様子を見られますが、相手は目の前のOriHimeを見ていてこちらの姿を見ないことです。
仕事で、SkypeやZoomで打ち合わせをすることがありますが、夜遅い時間でメイクを落とした後とか、顔を見られたくないこともあるし、
自宅からアクセスしている場合に部屋の中を見られたくない、などがあって、映像をオフにすることもあります。
ですが、そういうすると音声だけのコミュニケーションになってしまうんですよね。
病気で療養している方などは、自分の顔を直接出さず、
でもOriHimeを動かすことで、コミュニケーションが取れる、というのはストレスが無くていい方法だと思いました。
視線入力に挑戦!
上に書いたように、OriHimeの操作は、PC、スマホ、タブレットなどを使いますが、視線しか動かすことができない人には、OriHime eyeという「視線入力システム」があります。
この、視線入力を、体験コーナーで自分で操作して見ることができます。
私は「動かせる」ので、首が動いてしまうし、立っているから立ち位置も変わってしまって、目だけを動かすのはとても難しい。
体自体が動いてしまうと、最初に調整した視線の設定からズレてうまく操作できません。
それでも、自分の視線だけでロボットが動いて、うなずいたり、「いいえ」と首を振ったり、「なんでやねん!」とやると感動します!
アニメ『攻殻機動隊』には、義体使い、という概念が登場します。高性能な義体を巧みに使いこなす人をそう呼ぶのですが、ちょっとそんなことを思い出しました。(そこまで大変ではないです!)
OriHime eyeでは、呼吸器をつけていたり、体の状況によって「発声ができない」ことも想定されていて、1文字ずつ視線入力をした後に「読み上げる」いうボタンを視線
でクリックすると、人工音声が読み上げてくれます。
慣れないと(むしろ健常者の方が)視線入力をすることが多少難しいけれど、ユーザーインターフェースはすごく練られていて使いやすそうに感じました。
指だけは動かせる、という人は、「視線でポインターを動かし、親指でスイッチを押す」という入力もできるそうです。
2週目の、12月5日に再訪した時には、立ったままではなく、座って操作するようになっていました。立ち位置の変化による視線ポイントのズレでなくなってやりやすくなっているとおもいます。
抽象的なデザインの意味
OriHimeは、宇宙人のようなクリオネのような、抽象的な形をしています。
OriHime-Dは、上半身の形やスカートをはいたような下半身のデザインが少女っぽい気もしますが、顔はやはり抽象的です。
これは、OriHime自体のデザインにキャラクターがあると、
誰が使ってもそのキャラクターが前に出てきてしまうため、特に表情を表すような口をなくし、抽象的な形にしているそうです。
ただし、うつむく、上をむく、という角度によって表情があるように見える「能面」のようなデザインにもなっています。
OriHimeを通して話しているうちに、だんだん、「中の人」の個性でその人のように見えてくるのだそう。
後でカフェ利用をしているときに、同テーブルの人達と話したのですが、宇宙人のようではありますが、
広い額に大きな目
とちょっと幼く、かわいらしく見えるようにもなっていますね。
OriHimeで旅もできる
小さい方のOriHimeは重さ600gで持ち運びも容易なので、外出が困難な人の分身として、さまざまな場所に連れていくこともできます。
この日は、ブースにANAの係の人が不在で、映像を流すことができない、と言っていましたが、会場には大分の九州アフリカンサファリや、沖縄のちゅら海水族館に行ったときの映像がありました。
(九州アフリカンサファリ。私もまだ行ったことがありません・・・)
2週目の12月5日に再訪した時は、「ちゅら海水族館」のモニターがなくなって、九州アフリカンサファリだけになっており、モルモットの放飼場にOriHimeが設置されていて、体験者がOriHimeが見る場所を自分で変えられる、という体験デモをやっていました。
この前のサッカーワールドカップで、
「奥さんに反対されてロシアまで来られなかった友達」の等身大パネルを持ってきているメキシコ人の人たちがいましたが、OriHimeなら、その友達も観戦ができましたね。
さて、一通り操作体験をしたり、説明を聞いたりしている間に、自分のカフェ利用の時間がやってきました。
次はカフェ体験についてレポします。
https://shiki-note.com/cafedawn-orihime-2258.html