分身ロボットカフェ『DAWN Ver.β』の体験レポです。
マスコミやネットニュースの取材記事では、意外と「場所や行き方」「参加方法」が分からず、まとまった情報にたどり着くのに私も苦労したので、最初に、開催情報をまとめました。
体験レポはネタバレしていますので、
カフェの内部については何も知らない状態で、すべて最初から自分で体験をしたい!という方は、
「分身ロボットカフェ『DAWN Ver.β』を体験するには?」の部分だけ読んでください。
OriHime、ってどんなロボットなの?についてはこちらで。
タップして飛べる目次
分身ロボットカフェ『DAWN Ver.β』を体験するには?
【開催期間】
2018年11月26日(月)~11月30日(金)、12月3日(月)~12月7日(金)
(一般公開は11月27日から)
【営業時間】
13時~17時
当日チケットは、12時から、カフェ入口横の受付にて販売
1000円/(1人分、税込) 現金支払い・領収書発行は可能
2~4人で利用したい場合は、代表の人がまとめて購入すればOK
13時~、14時~、15時~、16時~ の完全入れ替え制、自分が利用する時間の5分前に受付前に集合
【場所】
日本財団ビル1階
東京都港区赤坂1丁目2-2
場所と行き方
最寄り駅は東京メトロ・溜池山王、赤坂見附、虎ノ門。
溜池山王駅の場合は、9番出口を出て、
首都高の下をくぐる横断歩道(向こうにドトールが見える方向)を渡り、5分ほど歩くと、日本財団ビルに着きます。
今工事中なので、入りにくい雰囲気満載ですが、ビルの角を右折すると正面玄関があります。
入口も、商業ビルではないので、入ったら怒られそう・・・な感じがしてこわいですが大丈夫なので入りましょう。
当日券の入手方法
入口を入ってすぐ右手に、『DAWN Ver.β』の会場と、当日チケット受付があります。
当日チケットは1人1000円、12時から販売しており、
13時~、14時~、15時~、16時~の4回・完全入れ替え制、
テーブルは4人掛けなので、基本的には、相席になります。
『DAWN Ver.β』は、事前にクラウドファンディングでチケットを買っている方もおり、当日チケットを買うのはもっと大変かと思いましたが
12時5分前に到着して並び、13時の回には入れませんが、14時の回を買うことができました。
また、12時にすべての回が売り切れてしまうわけではなく、14時ごろきても最終回に入れるかもしれない、という感じでした。
2~4人で利用したい場合は代表の人がまとめて購入すればOKです。
自分の回までは、どこか別の場所で待つことになります。
待っている間は、近くには赤坂AIRなどの飲食店やコンビニが入ったビルもありますし、
日本財団ビルの1階にはスワンベーカリー(ヤマト運輸と、アンデルセンなどを展開するタ力キべーカリーによる、障がい者の方が働くパン屋さん)もあります。
また、13時からは、OriHime体験コーナーも利用できて、こちらはチケット不要です。
自分の回の少し前に来て、OriHimeの操作体験をするのもよいですよ。
おひとりさまでもOK?
取材や、紹介の記事、twitterの写真では、一見、4人席でみんなグループで来ているように見えますが、
4人席を埋めるように相席になっているだけなので、
「初対面の人との相席はどうしても困る」
という人以外は1人で行っても何も問題ないです。
私ひとり:職場の同僚3人というテーブルでしたが、分身ロボットという共通の話題があるので、(少なくとも私側は)初対面の3人の方と普通に話していました。
どうしても相席でカフェを利用するのに抵抗があるなら、体験コーナーや物販は、カフェを利用しなくてもチケットなしで入れますし、体験コーナーからカフェの様子を見ることはできます。
ロボットカフェ『DAWN Ver.β』に入店
店内は、アニメ「イヴの時間」をイメージしたディスプレイになっています。
着席からカフェ開始
自分の回の5分前までに、受付に戻り、前の回の方たちがはけて、
テーブルが片付けられると(これは生身のスタッフが担当)入店開始になりますので、チケットを見せて、自分のテーブルに座ります。
私は1人参加で、お知り合いどうし(職場の同僚の方たちのようでした)の3人と相席になりました。
メニューはコーヒーとオレンジジュース。
オーダーを紙に書き込んで、OriHime-Dに渡す、というシステムなので、
「これ、1枚の紙に数を書いたらいいんですよね?」
「じゃあ、コーヒーの人はー?」
など、初対面ですが(ある意味必要に迫られて)自然に会話が始まりました。
やがて、オリイ研究所主催の吉藤オリィさんから挨拶があり、14時の回のカフェタイム開始です。
(中央が吉藤さん)
そしてバックヤードからOriHime-Dが登場します。
OriHime-Dは、「進む、止まる、旋回する、手にトレーやコーヒーを乗せて運ぶ」という動作と、「マイクとカメラを通してのコミュニケーション」によって、お客にサービスを提供します。
床に貼られたテープが動線になっています。
私たちのテーブルの担当は20代の女性で、島根県の自宅からOriHime-Dを操縦しているそう。
できることが限られていて動作がシンプルなので、操作はそれほど難しくはなく、リハーサルは2回くらいだったそうです。
フリートークタイム
注文された飲み物を出し終えたら、ホールスタッフとしてのお仕事は終わりなので、ここからはパイロットとお客のフリートークタイムになります。
テーブル担当の「ふーちゃん」は、今日がカフェスタッフデビューだそうで、少し緊張しているとのこと。
「初めて飲食店のホールの仕事をする日なんて緊張しますよねえ」とお客側も笑っていました。
そういう雑談みたいな話もあれば、
今回はイベントですし、このテーブルには研究職の方がいらっしゃったので、「OriHimeパイロットへのインタビュー」という感じもありました。
スタバなどで、常連になれば別ですが初めてのお店でこれだけ長く話すことはないので、普段カフェに行くのとはちょっと違う感覚です。
そういえば、そもそも、ドリンクそのものよりも「分身ロボット」に関心があったし、フリートークが始まってからはほぼ「カフェ」であることを忘れている状態でしたが(笑)、私が頼んだコーヒー「オリィブレンド」はちゃんとおいしかったです(会場でドリップバッグを買うこともできます)
「ふーちゃん」が隣のテーブルに移動した後で、
小型の「OriHime」が私たちのテーブルにやってきました。
(従来型のOriHimeは自分で移動できないので、カメラの三脚のようなものに乗っていて、生身のスタッフさんが移動させます)
パイロットの「みかちゃん」は愛知県にいるそうです。
OriHimeの目が点滅しているので、「これはみかちゃんの、何かの動きと連動しているのですか?」という質問が出ましたが、
「電波状態が悪いんです(笑)」
でも、ライトが点滅するのがまばたきのようで、表情を感じるので、そういう機能をつけくわえられるといいね、という話になりました。
おしまい
時間になったので、カフェは終了です。
ドリンクのカップは客が自分でゴミ箱へ持っていきます。
アンケートを記入、提出して、日本財団のパイルハンカチと、ANAのステッカーをいただきました。
ロボットカフェ『DAWN Ver.β』の感想
SkypeやZoomのコミュニケーションとは違うの?
今回、始めて、OriHimeを通して、「人」とコミュニケーションしてみて、
『遠隔地の人と話ができる』
という点では、スマホやタブレットの画面を通してSkypeやZoomで話すとの同じなのですが、OriHimeを通してのコミュニケーションは
目の前に実在している「ロボット」
それを動かしている遠くにいる人間
の存在が両方あって、ちょうど『ライオンキング』で、パペットと役者さんの顔が両方見えている(ダブルフェイス)、みたいな感じがしました。
特に従来型のOriHimeは、顔の角度を変えたり、手を動かしたりすることができるので、ロボットを通して、パイロットとコミュニケーションしている感じがかなりはっきりあります。
OriHime‐Dは、移動とモノを運ぶことが主な機能で、話している時顔の角度や手の動きの反応が見られないので、こちら側からすると音声を聞き取るだけになり、ちょっと「人と話をしている」感が薄いかもしれません。
(顔の角度や手を動かす機能自体はあるようです)
パイロットの側からは、OriHime‐Dは、カフェのようなざわざわした場所でも人の声を聞き分けやすくなっているようですし、OriHime-Dを外から見ている私たちとは、また感覚が違うのだと思います。
追記:12月3日以降のカフェの様子を動画やtwitterで見ると、OriHime‐Dは今週から手が動くように変わったそう。
(12月5日再訪時に撮影)
手を振ったりすることで、お客とのコミュケーションがよりしやすくなっていると思います^^
実用化されたら・・・?
今回の分身ロボットは、
「スタバに入ったらOriHime-Dのクルーがいた」
という、日常の中に分身ロボットが現れたのではなく、イベント要素が強いので、お客も、基本的に「実験の場」と理解して参加している人ばかりなので、変なクレームとかもなくて、とても「優しい空間」でした。
今のところ「分身ロボット」を目にしたことがある人の方がめずらしいので、相席になったお客同士も、お客とパイロットも、分身ロボットを話のきっかけとして、初対面でもうちとけやすい、という効果もありました。
実際に、常設の店で運用されるとなると、OriHime-D1体が、生身のスタッフ1人に相当する働きをするのか、といった経営の問題はあると思います。
お客も、もっといろいろな人が来るはずなので、トラブルや、モンスタークレーマーが出てきてしまったら、パイロットの負担が心配であったりもします。
一方で、認知症の方が働く「注文を忘れる料理店」(こちらも期間限定のイベントでしたが)が話題になったように、働く人が病気や障がいがあるからと特別扱いするということではなくて、
サービスに効率や、正確さを求めすぎないことが、逆にユーザーにとってもホッとできる場所になるという可能性もあるのかもしれません。
分身ロボットを使っている「人がいる」、分身ロボットがいる「場所がある」
ですが、
「分身ロボットがいる社会」になると、価値観や人生観も大きく変わると思います。
最後の記事では、「観劇」というジャンルでは分身ロボットにはどんな可能性があるのか?私が感じたことをまとめたいと思います。