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分身ロボットカフェ『DAWN Ver.β』体験記3「分身ロボットで観劇する時代」

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分身ロボットカフェ『DAWN Ver.β』体験をもとに
「分身ロボットで観劇したり、劇場スタッフとして仕事をすることってできるのかな?」を考えてみました。

分身ロボットOriHime、分身ロボットカフェ『DAWN Ver.β』についてはこちらの記事をご覧ください。

分身ロボットカフェ『DAWN Ver.β』体験記1「OriHimeってどんなロボット?」2018年11月26日(月)~11月30日(金)、12月3日(月)~12月3日(金) の間(一般公開は11月27日から)期間限定オ...

https://shiki-note.com/cafedawn-orihime-2258.html

分身ロボットでの観劇(の可能性)

分身ロボットカフェ『DAWN Ver.β』に行く以前も、オリィ研究所の動画や、インターネットニュースで、現在OriHimeを使っている方の事例などは見ていたのですが、
体験コーナーで、案内をしてくれたスタッフの方が、オリィ研究所のOriHimeにログインしてそこにいた人たちと話す様子を見て、分身ロボットは難病や障害のある方のために画期的なツールであるだけではなく、自分にとっても身近なもの、と思えるようになりました。

いちばんは、

あおなみ
あおなみ
年を取って(動きにくくなっても)分身ロボットで観劇できるじゃん!

ってこと。

それで、この機会に、「分身ロボットで劇団四季観劇をする」ことについて、考えたことを書きとめておきます。

考えた、といっても具体的な実現性無視の、「こうなるかもね」「こうなったらいいなあ」という感想なのですが、
こうして書いていることで、誰かの目に触れて、「分身ロボットで観劇」「分身ロボットで劇場スタッフになる」が実現しないとも限らないですからね。

個人での分身ロボット利用

劇団四季の公演では、車いすやストレチャーでの観劇は可能ですし、現在は、聴覚障がい者が利用できる字幕グラスの導入を段階的に進めています。

また、「こころの劇場」事業では、児童招待公演、障がい者の方を招待するチャリティ公演を行っています。

でも、長期入院している子どもや、常時医療サポートが必要な方は劇場に来ることができません。

そうした方たちも、分身ロボットで観劇できる可能性がありますよね。

すでに分身ロボット(OriHime)を使っている方が、分身ロボットを使って観劇することはすぐにでもできそう。

基本は、家族やお友達が分身ロボットを劇場に連れて行けばいいのですから。

今日、友人と話していて気が付きましたが、劇団器専用劇場の客席内は通信制限がかかっていますので、インターネットを通して遠隔操作するOriHimeは現状のままでは稼働させられないですね。
スタッフの方が使っている業務用の専用WiFiがあるようなのでそうしたものを利用できるのかどうか、観劇を実現するには、通信の問題を解消する必要があります。

上演中はOriHimeの目のライトを消さなければなりませんが、仮に「ログインして稼動しているけれど目のライトは消えている」機能がないとしてもつけ加えることはできるでしょうし、高さ調整は三脚を利用すれば可能でしょう。

また、視野や、音声が、OriHimeのカメラ・マイクを通すとどうなるのか、どう調整するのか、といった問題は出てくると思います。

専用劇場に「分身ロボット席」を設置したら?

分身ロボットユーザーが、個人的にロボットを劇場に持ち込むのではなく、
劇団四季専用劇場に、「分身ロボット席」が設定されていて、劇場まで来ることが困難な人は、分身ロボット席から観劇できる
という仕組みを作ることができるかも。

「遠征が難しい」といっても、身体的に外出することが難しい、だけではなく、お金がない、時間がないといった「難しい」もあります。

遠方の公演を観たいなと思っても、お金や時間の問題は、よほどの大金持ち以外、多かれ少なかれ出てきますよね。

私は、現在は健康だし、どうしても観たい舞台は遠征も厭いませんが、じゃあ、週1札幌に行かれるのかというとそれば無理です。

ただ、分身ロボットで観劇する人たちは劇場の周辺で食事をしたり買い物をしたり、ホテルに泊まったりはしないので、
みんながそうすると、観劇をきっかけに、買い物、宿泊、観光などで地域経済に貢献してほしい、と考えるその地域の人たちは困ってしまうかもしれません。

一方で、どうしても地方の劇場では観客動員が難しい、という面を、分身ロボット観劇なら全国から集客することができる、という劇団にとってのメリットはありそうです。

考えられる方法としては、「四季の会」の会員コースの中に、分身ロボット会員を設定して、

病気の方、障がいのある方、高齢者などを会費や、分身ロボット席チケット代を割引する
上記に当てはまらない人は、観劇する劇場から遠方に住んでいる人ほど分身ロボット席チケット代を割引する
反対に、実際に劇場に来る人に対しても、劇場に足を運んだからこそ、のメリットを設定する

などでしょうか。

「劇場中継」との違いは?

体験コーナーで、OriHimeのカメラを通して事務所の様子を見ましたが現在の機種では、カメラもマイクもそれほど高性能ではないのかな、と思いました。
(もし、劇団四季専用劇場に「分身ロボット席」が設置されるような場合は、より高性能なカメラやマイクを取り付けるということは可能でしょう。)

画像の品質という点では、現状では劇場中継の方が上だと思います。

でも、劇場中継と違って、分身ロボットは、自分でどこを見るか決められます。

中継は、万人向けに、「ここがメインであろう」という場所を中心に撮影しますが、「どこを見たいのか」は見る人によっては様々です。
中には、小道具をメインに見ている人だっています。

自分で操作できる分身ロボットなら自分が見たいところにカメラを向けられます。

もう一つは、そこに「いる」ということ。
分身ロボットなら、『キャッツ』ではネコ(役者さん)が分身ロボットの目に前に来たり、『ライオンキング』では、客席通路を通るゾウやハイエナを迫力を感じたりすることもできるし、
家族や友達と一緒に観劇して、一緒の空間にいるという存在感も充足感につながると思います。

多くの人(の平均値)に向けて撮影した映像に対して、
自分がある1体の分身ロボットにログインして、その操作をして見るのは、やはり「自分がその場にいて観劇している」という感覚になれるのだろうと想像します。


分身ロボットが劇場で仕事をする可能性

分身ロボットカフェ『DAWN Ver.β』でOriHime-Dの接客サービスを受けてみて、
分身ロボットで、劇場スタッフの仕事ができないかな?と考えました。

劇場内のサービスは、不定形で、臨機応変さが求められる業務の多く、難易度が高そうですが、

劇団四季専用劇場の入口で、レシート・チラシの受け渡しは、分身ロボットでもできそう。

グッズ売店は、取り扱う商品の種類が多いので難しそう。

公演プロブラム販売ブースは、
プログラムとショッピングバッグのみの販売で(季節によりカレンダーも加わることがある)、プログラムの料金は会員と非会員の2種類なので、分身ロボットでも対応できるかも。

分身ロボットから生まれる新しい身体感覚

OriHimeを開発しているオリィ研究所の吉藤さんが、「目指しているのは、福祉ではなくSFとしてのサイボーグ」とインタビューで答えていましたが、

https://www.timeout.jp/tokyo/ja/things-to-do/%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%93%E3%83%A5%E3%83%BC%EF%BC%9A%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%82%A3%E7%A0%94%E7%A9%B6%E6%89%80%E3%83%BB%E5%90%89%E8%97%A4-%E5%81%A5%E5%A4%AA%E9%83%8E

分身ロボットカフェでは、健常者と比較して足りない身体機能を補完するのではなく、テクノロジーを利用して、人間を「拡張する」という感覚が実感できました。

体験するまでは、
ロボットを通してコミュニケーションすることと、
テレビ電話のようなものと違いは、もうひとつピンとこなかったのですが、

実際にOriHimeのパイロット(本人は島根や愛知にいる)と話すと、画面で本人の映像を見る以上に、その人の「存在感」が目の前のOriHimeから感じられます。

OriHimeの抽象的なデザインは、見る側にとってパイロットの個性を投影しやすく、
パイロットが自分の発話に合わせてOriHimeの首や手を動かすと、非常に単純な動きにもかかわらず、「表情」を感じることができるのです。

劇団四季の『ライオンキング』では、サイチョウ(ザズ)やミーアキャット(ティモン)のパペットとそれを操る役者さんの両方を同時に見ていますよね。

OriHimeの場合は、パイロットの姿は直接見えないですし、キャラクターを演じるのと、「自分自身として」分身ロボットを使うという違いはありますが、ロボット+人という、素の自分のままとは、少し違った存在になっているように感じます。

また、『ライオンキング』出演者のインタビューやテレビ取材を見たことがある方は分かると思いますが、あのパペットを自在に操るには技術が必要です。

同様に、視線入力で分身ロボットを自在に操ることも健常者の「素人」にはすぐにはできません(難しかったです!)
前の記事にも書きましたが、私はアニメ『攻殻機動隊』の「義体使い」を連想しました。

パペットを使っていきいきとした動物を演じる劇団四季の役者さんを「かっこいい」と思うように、分身ロボットを使っていろいろなことができる人を「かっこいい」ってなりませんか?

また、難病や障がいで外出困難な人だけでなく、健常者も、テレワークなどで、分身ロボットを使うのが普通、という社会では、今、スマホアプリを通して、どこからでも家族や友達と話せるのが当たり前であるように、自分自身はある場所にいてながら、分身ロボットが物理的に離れたところで活動をしている、という感覚も普通になるでしょう。

ロボットと劇団四季の作品

現在の劇団四季のレパートリーで、ロボットが出てくる作品は「エルコスの祈り」だけなんですが、「エルコスの祈り」には、大きく分けて2種類のロボットが登場します。

1つは、現在のロボット掃除機の延長線にあるような、体罰ロボット(自律タイプ)やカニ型ロボット(搭乗タイプ)
ジョンを育てた「育児ロボット」は舞台には出てきませんが、このタイプだったのではないかと思います。

もう1つが、CPΣ-F81-型ESPアンドロイドエスパー「エルリックコスモス」。人間そっくりの外観と、人間の心のポジティブな面をベースプログラムとする人工知能を持つ、アンロイドです。

「エルコスの祈り」の舞台は「今から50年後の未来」。
初演の80年代と、現在とでは、現実世界のロボットの機能は存在感が変わってきていて、すでに現実が追い付いている部分、追い越している部分もありますが、今のところは、まだ「50年後の未来」という設定に無理がある、ということではありませんが。

分身ロボットが普及したら、作品の見方が大きく変わるか、というと、どうだろう、
アンドロイドそのものが現実化したわけではないので、それほどの影響はないのかな・・・

ただ、「エルコスの祈り」を、客席から分身ロボット「OriHime」が観劇している、ロビー見送りで、エルコスとOriHimeが交流している、という様子はすごく見てみたいです!

また、「分身ロボット」に関係しそうな作品では、ストレートプレイ「この命誰のもの」(最近の公演は四季ではなく、浅利慶太演出事務所による)が思い浮かびます。

首から下が不随になった主人公が、尊厳死を望む、という物語ですが、
こちらに関しては、現実の社会で、ほとんど体が動かなくても分身ロボットで活動している人たちが多くいる社会になったら、作品から受ける印象は変わると思います。

まとめ

自分自身は、今のところ健康ではありますが、

劇団四季観劇を始めた2002年から比べると、事実10数年分年はとっていて、マチネ名古屋⇒ソワレ東京、みたいな遠征ダブルヘッダーはもうできないかなあと感じるようになり、

ぼんやりと、

『何才まで遠征ってできるのかな』『最後の観劇はいつくらいなのかな』

と考えることがあります。今10代、20代の人はピンとこないかもしれませんが。

でも、今回『DAWN Ver.β』に行ってみて、分身ロボットの存在が身近になったのと同時に、

自分の、何十年か後の観劇ライフにも希望があるな、と。

もちろん、ベースになる健康にはも気を付けますけれどね。


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