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劇団四季ファミリーミュージカル『ジョン万次郎の夢』’14年8月14日観劇メモ

ジョン万次郎の夢
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2014年8月14日の、劇団四季ファミリーミュージカル『ジョン万次郎の夢』の観劇メモです。
このブログを始める前に、Facebookのノートに書いていたものを再編集しました。

『ジョン万次郎の夢』は、男性の俳優さんに非常に人気のある作品で、
2014年春ごろの内田 圭さん、青羽 剛さんのラジオインタビューでお二人とも「ぜひ出演したい」と言われていたことと、
「Song&Dance60感謝の花束」のトークイベントでも『ジョン万次郎の夢』の話が出たことが印象に残っており、この日初観劇しました。

また、この日は終演後にオフステージトークにも参加したので、その際に聞いた話も観劇メモに含まれています。

感想はネタバレです。

劇団四季ファミリーミュージカル『ジョン万次郎の夢』’14年8月14日観劇メモ

ジョン万次郎の夢あらすじ

土佐の14歳の少年万次郎が、漁で遭難して仲間とともに
無人島(鳥島)に漂着し、アメリカの捕鯨船に助けられるところからはじまり、

一度日本に帰国し、30代になった万次郎が、咸臨丸で再びアメリカに渡るまでを描いています。

鳥島で救助されたのち、他の仲間はハワイで下船し、
万次郎は1人、助けてくれた捕鯨船でそのまま世界を航海し、
カリフォルニアのフェアヘヴンに着くと、ホイットフィールド船長夫妻の養子となります。

そして、学校に通い、英語、アメリカの民主主義や科学技術、キリスト教精神を学ぶ一方で、人種差別も体験しました。

8年後、青年となった万次郎は、
日本の人々の心を世界に向けて開き、日本に新しい時代をもたらしたい、と考え、
鎖国の禁を犯した罪に問われることを覚悟で日本に帰国します。

いつか、日本人とともに、日本の船でアメリカに戻る夢を決して諦めない、という近いともに。

帰国した万次郎は日本人にアメリカのことを伝え、日本も世界に向けて扉を開くべきだ、と訴えますが、当然のことながら、なかなか理解を得られずに苦労します。
しかし、薩摩藩主島津斉彬と知り合い、ともに日本に新しい時代をもたらそうと決意を新たにします。

万次郎は、江戸で学問所を開き、子どもたちに英語を含めた学問を教えいましたが、
やがて、勝海舟が咸臨丸かんりんまるでアメリカに渡る際に、アメリカのことを知っている万次郎もともに行くことになります。

ついに、日本人とともにアメリカに渡る、という万次郎の夢がかなう時が来たのです。

ところが、船の中で一人のアメリカ人船員が規則を破ったことから争いが起きてしまいます。
銃を構える船員の前に立った万次郎は・・・

幕末ものミュージカル!

ジョン万次郎はNHK大河ドラマ「西郷どん」では、劇団ひとりさんが演じていた、幕末の時代の、歴史上の実在の人物です。

日本史上の大きな変革期はなんどかありますが、その中で幕末には「青春期」というイメージがあります。
実際どうだったかはともかくとして、新しい時代に向かっていく、というロマンを感じるんですよね。
『ジョン万次郎の夢』にもそういう要素があって、男性の俳優さん達が出演したい、というのが分かる気がしました。

万次郎たちが遭難する場面の船や波の動きは、裏方ではなく、俳優さんが自ら行っているそうですが、
漁師役の人たちが本当に転げたり、酔ったりするくらいの動きで見ていてもとても迫力があります。

土佐弁や英語が字幕なしで使われていて、「子ども向けなのに分かるのかな?」とも思ったのですが
方言ならではの空気感や、英語をそのまま使うことで、本当に言葉の通じない感じが、リアルに出ていたと思います。
個人的には、大河ドラマ『龍馬伝』のおかげで、土佐弁はわりと分かりました。

あおなみ
あおなみ
ずーっと、英語で話すわけにはいかないので、途中で日本語のセリフになるんですけれど、その転換も自然。

考えてみると、
今の私たちがアメリカ人に会って英語通じない、
いうレベルではなく、

万次郎にとっては、

UFOが来て、宇宙人が助けて上げるからいっしょに来いと言っている「らしい」から「行く」と答えた、というくらい、
未知の世界に踏み出した、ってことなんですよね。

万次郎役の田邊さんは(この当時で40才くらいだったはず)学はないけれど利発で、オープンハートな少年万次郎から、
困難に遭っても夢を諦めず、男気もある大人になった万次郎を、魅力的に演じられていました。
ほっそりしていることもあり、髪形と衣装で少年っぽく見えるんですよね。

万次郎が捕鯨船に乗り、
仕事を覚えていく、という過程をデッキブラシを持ったダンスで表現しているシーンがすごく楽しい。

万次郎は、一生懸命周りをマネしていくんですけれど、
それに対して、他の船員達が、目線をやったり、顎で「こうするんだぜ」と指示を出したり、「振り付け」とは違う部分の動きが細やか。

オフステージトークで聞いた話では、狭いスペースで10人近い人がデッキブラシを持って踊っているので、
他人にぶつけないように、とても難しいのだとか。

船長役の道口さん、船長夫人役の折笠さん、
アンサンブルの内田さん、青山さんなど、声に定評がある出演者が多く、ソロ、コーラスどちらも聴きごたえがありました。

オフステージトークイベントで、
小学生の女の子から「どうしてホイットフィールド船長は優しいのですか?」という質問があり、
船長役の道口さんが、すごく考えながら答えていたのですが、

「船長は優しい、というより、
自分の信仰や信念をしっかり持っていて、外国人の万次郎を助けて、養子にして、教育を受けさせたのも、それに基づいていて、
万次郎を差別する人たちに対しても怒るのではなく、神の前ではみんな平等である、ということが伝わらないことを、
静かに、悲しく思っている人、なんですよ。」

というような内容でした。
「少し難しいかな?」と自分でも言われていましたね。

ホイットフィールド船長と、島津斉彬は、1人の俳優さんが演じるのですが、
どちらも、自分の理想が必ずしも周囲に理解されないところと、
万次郎にとって父親のような存在であることが共通していて、あえて一人二役なんだろうなあ、と思います。

劇団四季ジョン万次郎の夢

この当時は、自由劇場での公演でもファミリー作品は高校生以下が子ども料金だったんですね(2019年現在はファミリーミュージカル作品の、劇団四季主催公演での子ども料金適用は小学生以下)。


劇団四季ファミリーミュージカル『ジョン万次郎の夢』’14年8月14日キャスト

万次郎 田邊真也 ホイットフィールド船長/島津斉彬 道口瑞之
伝蔵親方/役人2
/ブルック大尉
青羽 剛 (勝 海舟) 白倉一成
重助/老中 堀米 聰 (ホイットフィールド夫人) 織笠里佳子
寅右衛門/幕臣 奥田直樹 (アリー) 提水流奈津子
五右衛門 川島 創 (ポリー) 吉田千恵
福沢諭吉 田島康成 (キン) 菅谷有希
役人1/親藩藩主 内田 圭 (ギン) 林 香純
男性アンサンブル 女性アンサンブル
青山裕次 西田有希(万次郎の母/教会員)
浜名正義 山本志織
中村 巌 廣本則子
塩地 仁 新保綾那
前田員範 岸田実保
鎌田 純 田中あすか
戸高圭介 権守美加子
日高彬文 川合美奈子

再編集してみて。

『ジョン万次郎の夢』は、楽曲「明日は近づく」が、『ソングアンドダンスシリーズ』でよく使われていたし、
私が劇団四季の舞台を良く観劇するようになってからも、何度も上演していたのですが、「和もの」ということで避けていたんですよね。
実際に観るとなんら違和感はなく、もっと前の上演から観ておけばよかったなあと思います。

音楽的には、この次の年に観た『むかしむかしゾウが来た』ほど和風ではなく、力強い感じの西洋音階の音楽でしたが、
まもなく明治になる時代の話なのでむしろそれがあっていました。

上演当時の、四季の会会報誌「ラ・アルプ」の、「楽屋の窓から」のコーナーで読んだのですが、
アンサンブルの皆さんは、アメリカ人、日本人を両方演じるためアイメイクも場面によって変えているそう。

万次郎14才~30代初めまでの、20年弱にわたる長いスパンのお話なのですが、
ファミリーミュージカル作品の上演時間は短いので、もう少し長い上演時間で、突っ込んだ描写を見たいようにも感じました。

劇団四季のファミリーミュージカル作品の中でも、
わりと異色な題材、描き方の作品だと思うので、もし今後も上演の機会があればぜひ観てみてほしいと思います。


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