FM OH! 「なにわルネサンス おとなの文化村」2019年3月10日放送回の劇団四季俳優(ミュージカル『リトルマーメイド』アリエル役)三平果歩さんのインタビューから、印象に残ったことをまとめました(書き起こしではありません)。
「なにわルネサンス おとなの文化村」は、
青春時代、深夜ラジオに夢中だった団塊世代のおっちゃん・おばちゃんたちがパーソナリティーを務めるラジオ番組
というコンセプトで、四季の俳優さんインタビューのために聞いている全国各地のラジオ番組の中でもスタジオの雰囲気が異色でした。
何しろ、ラジオにしては出演者が多いんですよね。
<パーソナリティ>
野杁育郎さん(ノイリン) 大阪土産販売会社社長
能口仁宏さん(ノグッタン ) 家具販売会社社長
任 啓子さん(にんちゃん ) 不動産会社社長(過去、ラジオ番組でのアシスタント経験あり)
<アシスタント>
式地ひかりさん(ひかりちゃん) キャラクターショーなどの、声の仕事をしている
これにゲストを入れたら、なんと5人でしゃべることになるわけで、画面のないラジオという媒体ではかなり分かりにくくなりそうなんですが、
メンバーのキャラが立っているのと、
基本的には、野杁さんがまとめる、という秩序ができているみたいで、意外と、今誰がしゃべっていてどういう方向に話が行くのか?は見えやすかったです。
三平果歩さんの紹介
まず、式地さんから、三平さんの経歴等の紹介。
小学生のころから合唱をはじめるなど歌が好きで、バトントワリングでは全国大会受賞。
2012年劇団四季研究所所入所し、
2013年『リトルマーメイド』アラーナ役(女性アンサンブル5枠)で初舞台。
2014年、入団1年半でアリエル役をいとめる。
「コーラスライン」ヴァル
『キャッツ』ランペルティーザ
「ブラックコメディ」キャロル
『アラジン』ジャスミン
「ソングアンドダンス65」
『リトルマーメイド』の魅力について
「おとなの文化村」のみなさんで、大阪四季劇場で、ディズニーミュージカル『リトルマーメイド』を観劇した感想を、
三平さんのアリエルがきれいかった!、泳いでいる姿がすごかった、幕が開いた瞬間に「あ、アリエルだ!」と感動した、などとにぎやかに話すところからトークがスタートしました。
一番若い式地さんは、ディズニーアニメ映画の『リトルマーメイド』が大好きなので、幕が開いた瞬間に「アリエルがいる!」と感動しました、とコメント。
アリエルのドレスを着ていたり、人形を握りしめて見ている子もいますね。
野杁さん:
観る前はなんとなく「人魚姫」のお話、くらいに思っていましたが、従来の人魚姫とは違いますよね?
やはりディズニーなので、ハッピーエンドがベースになっていますね。
最後どうなるのか、泡になってしまうのかどきどきした、という話から、「カニが食べられるのか食べられへんかって心配していた」「食べられへんでよかったあ」というスタジオのみなさん(笑)
その後、三平さんがストーリーを紹介。
でもお父さんがそれに反対するんですね、人間は、魚を捕まえるような危険な生き物だから絶対に近づいてはいけないといって。
そこで、まず父との衝突があって、ある嵐の夜をきっかけにアリエルとエリック王子が出会うんですけれど。
あ、これネタバレなんですけれどいいんですかね?
(「そこはね、まあ、いろいろあるんやね」と任さん、「まあ、なんとなくわかりますよ」と野杁さん。)
(アースラが小林幸子さんに似ている、と沸くスタジオ)
ここの三平さんの話の中で「アリエルは地上に憧れているけれど、それはかなわないことだと思っている」という部分はちょっと思うことがあったので、最後に補足しておきます。
野杁さん:
2幕の最初にアリエルが一生懸命歩く姿が印象的でした。
エリックは、航海に出た時に聞いた女性の声に惚れていて(←「惚れている」は三平さんが言ったママです)、でも今近くにいる、この声の出ないアリエルにも心を動かされていて、揺れているんですね。
スタジオの、今の話って一度舞台を観ていたら「ああ、あそこー!」って思いますよね、という話から、
野杁さん:
何千回上演してたくさんの人が見ているわけだけれど、まだ日本全体でいったら、大阪でも観ていない人もいらっしゃるわけですよね。
いろんなストーリーのこと言っても、ストーリー抜きにした舞台の素晴らしさがありますよね。
(たぶん、ストーリー的なネタバレはそんなに影響ないんじゃないか?という意味で言われたのかな、と思いました)
野杁さん:
僕は歌舞伎をよく観るので、宙乗りみたいなものかと思っていたらぜんぜん違いました。
能口さん:
スイー、スイーいうかんじですよね。
任さん:
バタフライの動きですよね(三平さん「そうですね、バタフライの動きから入りました」)。それで水泳してはったんですか?って聞いたらしてない、っていうし。
「パートオブユアワールド」だったら、この音でこっちに行くとか、あるんですね。
だからそれを全部記憶して、俳優がそれに合わせています。
右に行くときだったら手をこうかきながら、ただ棒立ちのままでは泳いでいるように見えないので。
任さんから「あのヒレはどれくらいの長さがあるんですか?」という質問が。
足を動かさないと、ヒレも動かないので、ヒレの先まで動くようにちょっと強めに動かすのですが、でも強すぎて膝が曲がるとまたダメなんですけれど。
ヒレの先まで自分で動かすんだ、という意識で動いています。
任さん:
体幹をすごく使いますよね。あのね、三平さんはもちろん、お顔も、声も素敵なんだけれど、
スタイルがいい!
めっちゃかっこいいやないですか。みなさん見に行ってあげてください。
(通常は、番組途中でゲストのリクエスト曲をかけるらしいのですが、ここではCD音源の「アンダーザシー」が流れました。私は三平さんが個人的に好きな曲とか聞いてみたかったんですけれど、話の流れがありますからね。)
野杁さん:
この『リトルマーメイド』という作品の魅力を、一言で伝えると?
(えええ、なんだろう・・・?と三平さんが迷っているうちに、勝手にどんどんしゃべりだす浪花のおっちゃんおばちゃんたち(笑))
任さん:
例えば、深海ってちょっと暗いイメージだったのが、
アンダーザシーの場面だと、「えっ、こんなカラフル?サンバ?」という感じで、でもそれがアリエルたちの現実なんですよね。それで、アリエルがお城に来るとまた違いますよね。
(1幕は、基本的には床の上には何もない状態でフライングで海の中を表している、
2幕の地上の世界は、アリエルにとっては夢の世界だから平面的な「絵本」の形をとっていて、お城の従者さんがページをめくると次のシーンになる、と説明する三平さん。)
任さん:
それは(地上が絵本のように描かれているのは)まだ、アリエルにとっては現実やないんやね。それがまたラストでカラフルになって。
「おとなの文化村」メンバーが印象に残ったポイントとして、
能口さん:
果歩さんの声はすごく通りがいいですね。ぐわっとくるねん。
任さん:
海の世界は、私たちにとったら憧れの世界で、ウソいうたらおかしいけれど、その世界がすごくカラフルに描かれているのが子供たちに夢を与えるなと思いました。
それが最後には地上の世界と海の世界とが合体して、握手するというか、そうなるのがいいな、と思いました。
式地さん:
私はアースラさまのシーンがやっぱり迫力があって。ネタバレになるのであまり言いませんけれど、動きがとにかくすごい。
野杁さん:
色彩もすごいし、多彩なキャラクターが出てきますよね。クラゲとか、ローラースケートしているアースラの手下が印象的でした。
フライング中、客席の子供たち、おっちゃん、おばちゃんは見えるのか?という質問には
暗いシーンは、パートオブユアワールドとかは、自分にだけスポットライト1本だけ見えている感じですね。
その後、チケット販売についての話があって(JR西日本でも購入できる、という話や、2020年1月まで販売している、という話)、
能口さん「僕は90歳の母連れていけるなと思いました」
任さん「私は孫連れて行きたいです」
野杁さん「老若男女楽しめますよね」
野杁さん:
私たちが見に行った時も公演が終わってからチェックがあるっておっしゃっていましたね。
野杁さん:
複数のキャストがいらっしゃるということなんだけれど、今回はやっぱり、泉大津出身の三平さんの時に観てほしいと思っているんですけれど。
三平さんは、バトントワリングをやっていらした、ということなんだけれど、ミュージカルというものをやろうと思ったのはいつごろから?
合唱同好会(部活でもないグループ活動だったらしい)には入っていて歌うことは好きではありました。
劇団四季の作品はたくさん見ていたんですが、高校生の時「マンマミーア!」の、最後カーテンコールでみんな一緒に立って踊るところで、客席側じゃなく、あっちにいきたい、と思いました。
それで、バトンをやめて、ミュージカルのためのレッスンを受けるようになって、20才の時に劇団に入りました。
四季のミュージカル作品ってたくさんあるんですけれど、やっぱり四季の作品が大好きだったので、これをやるには四季に入るしかないなと。
任さん:
劇団四季で一番すごいなと思うのは、文化的なものが日本に根付いていない時に浅利慶太さんが始められて、当時は赤字やったと思うんですけれど、ここまでロングランさせて、いったい何がいいんでしょうね?
任さん:
だから、だれかスターを作らないで、みなさんで同じようなレベルのものを全国に配る、ということですね。
野杁さん:
東京に劇場たくさんあるんやったら大阪にも今は梅田にあるからミナミにも劇場ほしいな、そのためには今の公演にたくさんたくさん、来てもらって好循環になると、できるかもしれないですね。
最後に三平さんから、まだ観たことがない人に向けてのメッセージ
舞台を一度も観たことがない方は、劇場に行くのにかしこまったイメージがあるのかもしれませんが、
『リトルマーメイド』は、USJやディズニーランドに行くような感じで、ラフな気持ちで観ていただける作品だと思うので、気負わないで、映画のような、ひとつのエンターテインメントとして楽しみにきてください。
ラジオインタビューを聞いての感想など
三平さんの話の中の、「アリエルは地上に憧れているけれど、それはかなわないことだと思っている」という部分、私は三平さんのアリエルの時にはっきりと感じていたので、やっぱり、三平さんのアリエルとしての気持ちがそうなのかな?と思いました。
最初はアリエルの地上の世界への憧れは漠然としたもので、トリトンに反発しても具体的に次の行動の方向性は定まっていないのですが、エリックを助けた時にはっきりと「エリックと同じ世界で生きたい」という決心が固まる、というのが物語の流れです。
だからどの俳優さんのアリエルも、その流れでお芝居されているのは同じだと思いますが、最初の時点で「地上の世界に行きたいという夢はかなわないのだろうな」という感じは、他の人のアリエルの時には、少なくとも私は感じないんです。
同じような感じは三平さんが演じている『アラジン』のジャスミンにもあるように思います。
パレスの場面の侍女たちとのやり取りで、伝統やしきたりにこだわるサルタンへの苛立ちよりも、どこかジャスミン自身も「王女である以上仕方のないこと」というあきらめがあるように思えるんです。
今回のインタビューで三平さんの口から「かなわない」という言葉が出てきたので、ちょっと答え合わせができたみたいです。
最初に書いたように、ラジオ番組にしては、出演者が多いのでびっくりしましたが、
パーソナリティのおっちゃん、おばちゃんたち、三平さんをすごくリスペクトしていらして(かわいい!と思っている感じもして)また、文化で大阪を盛り上げようという番組であることも伝わってきました。
任さんはお若いころにラジオ番組のアシスタント経験があり、アシスタントの式地さんは現役で声のお仕事をされている方ですが、
野杁、能口さんは実業家の方で話す仕事のプロというわけではないと思うのですが発声も発音も聞きやすく、人当たりもよくて、聞いていて楽しかったです。
『リトルマーメイド』アースラ役恒川 愛さんのインタビューもおもしろかったです。