FM COCOLO「AFTERNOON DELIGHT」2019年3月28日放送回の
劇団四季俳優・飯田達郎さんのインタビューから、印象に残った点をまとめました(書き起こしではありません)。
DJはメメさん。「ノートルダムの鐘」の観劇はまだされていないそうですが、しっかりと聞いてくださって充実した内容のインタビューでした。
飯田達郎さんプロフィール
福井生まれ、阪神タイガースのファンという話をアイスブレイク的に。
メメさん:
今年のタイガースはいかがですか?
まずはクライマックスシリーズに食い込んでくれたらいいと思うんですが。
あまりに具体的で一瞬野球解説番組かと思いました 笑
当然、メメさんから、翌日の阪神タイガース開幕戦での国家独唱についても話が振られていました。
今から緊張しています!
メメさん:
今年入団11年目、ということですが、昔からミュージカルをやりたい、と思っていらしたんですか?
兄が先に劇団四季に入っていて、兄の舞台を観て、
歌だけじゃなく、お芝居があって、役を生きていることってかっこいいなあと思っていましたし、
やっぱり劇団四季の上演している作品の魅力にひかれて、
自分もその中でやっていきたいと思うようになりました。
メメさん:
11年間はあっという間でしたか?
僕たちの仕事は、本番はだいたい2時間半なんですけれど、そこにすべてのエネルギーを集中するんですよね。
それで凝縮されているというか、舞台出演を続けていると1日が3時間くらいに感じるんです。
ほんと、びっくりしちゃいますよね。あっという間で。
めめさん:毎日、舞台を歌いきって踊りきって、くたくたになりませんか?
もちろん疲れはあるんですが、ただ、いい疲れ、達成感、充足感があって。
特に「ノートルダムの鐘」カジモド役は難しい役で、
台本もものすごく多面的で複雑なんですが、
だれもの心の中にある光と影を描く、という普遍的なテーマで、ゴールが見えない、ここでいい、というのがなくて、
常に、今日はこう感じた、明日はどうなるんだろう?という感じで、毎日変化があるんです。
メメさん:
毎日演じながら成長させていく感じですか?
「ノートルダムの鐘」作品について
ストーリーとテーマ
メメさんから、「ノートルダムの鐘」作品についてストーリーの説明。
終わると「緊張したあ」と言われていましたが、バックにアントラクトの追い立てるような曲が流れているので余計にそうだったのでは・・・
メメさん:
カジモドは塔の中に閉じ込められているわけですね?
醜い容姿で、体が不自由で、話こともままならないため、保護者であるフロローは人目にさらすことを恥ずかしがっている。
だから外は危ない、外は危険がある、外に出たら罵倒されてしまう、と教育しているんです。
でもカジモドも成長するにつれて “I want”が大きくなっていき、トプシーターヴィー(乱痴気祭り)の日に外に出ていく、
そこで、(カジモド、フロリー、フィーバス、エスメラルダ)4人が四角関係を作っていく時に大きく物語の歯車が大きく動いてあっと驚く展開になっていきます。
ここで、「陽ざしの中へ」を流してから再びトークへ。
舞台上から見える景色を想像して聴いていました。
彼・・・よく、彼って言っちゃうんですけれど、自分とカジモドが融合している感覚がすごくあって舞台上からは彼の眼には街の景色がずっと見えていて、今曲を聴いてそれを思い出していました。
メメさん:
あの、お歌は昔から得意だったんですか?
両親の仕事は音楽とは全く関係ないんですが、合唱で知り合って結婚したんです。
メメさん:
お兄さんとアカペラグループを結成されて歌っていたんですよね。
メメさん:
私は今から4人の四角関係がどうなるのかなあと思って、楽しみなんですが。
この作品は確かに恋愛にもフォーカスはしているのですが、人間の善と悪、正常って何でしょう、って話なんですよね。
何が人を怪物たらしめるのか、何をもって人間というのか、という、
哲学的、というか、一言ではこの作品の中身を語るのは難しいですし、見るたびに感じることも違うと思います。
メメさん:
愛と苦しみ、憎しみが交錯するわけですよね。
やっぱり人は希望を持って生きていかなくてはいけない、というメッセージが込められています。
ぼくはその演出を最初に観た時に鳥肌が立って、今はもう100回以上本番も見ているし、稽古もしているし、演じてもいますが、それでもやっぱり鳥肌が立ちます。
最低3回は観に来てほしい
メメさん:
これは1回では足りないですよね。
というのは、舞台の様式が、15世紀当時に使われていたものなので、初めて見る人はもしかしたら抵抗があるかもしれないんです。
登場人物が、舞台の上でその役に変身してというかその役になって、最後に役を舞台の上に置いて帰る、というような不思議なものになっていて、さっきまで石像だったアンサンブルが(舞台の上で)パっと町の人になったりするんですね。
だから、1回目は作品をざーっと全体を見て、2回目は、今はカジモドの空想の中、今は現実の世界、と見分けられると思います。、
3回目になったら、もう話の流れ・オチはわかっているわけですよね。
そうすると、今まで笑顔で拍手していた場面で泣けるかもしれません。
たとえば、カジモドが歌う「陽ざしの中へ(OUT THERE)」は、すごく明るい希望に満ちた歌だけれど、そこで泣きながら拍手している、といったことが起こるんです。
音楽の魅力
メメさん:
作品の魅力としては音楽も大きな要素で、クワイヤがいるんですよね。
本番中はずっとクワイヤが、僕たちキャラクターの心情を歌っていたり、あるいは真逆のことをラテン語で歌っていたり、より、作品を重層的に重厚にしています。
「ノートルダムの鐘」の魅力とは?
メメさん:一言で、というのは難しいと思いますが、飯田さんから見てこの作品の魅力を一言でいうと?ぎゅっと凝縮して。
祈りがあることだと思います。
まあ、舞台設定も教会の話なので宗教色があるのですが、そういう祈りだけじゃなく、カジモドなりの祈り、エスメラルダの祈りが混ざり合って大きな祈りになる、そして、エンディングで、われわれ出演者とお客さまとで、祈りを共有して、
いつか争いのない世界になったらいい、と望む。
そういう作品なんです。
大人の方、お子さんもそうですが、僕はいつも思うのは、特に高校生・大学生に一度、観てほしい。
社会に出ていく前の若い人たちに、他者とのかかわり方、自分の心の持ちようで相手の見え方が変わるんだ、ということもありますし、
障がいのある方は弱いという立場ではなくて、彼らにはそれが当り前であるということ、
「普通って何?」「自分の物差しだけでは測れない」ということがこの作品のテーマなので、観て、そこを考えてほしいです。
トークはここまでで、この後京都公演の公演案内でした。
最後に感想まとめ
「ノートルダムの鐘」の魅力は、本当に飯田さんが語られていたようなところにあると思うのですが、
演じている飯田さんが本当にこの作品を愛している熱量が伝わってきて、「観たくなる」インタビューでした!
自分は初見から、暗転や袖に入って着替える展開ではなく、
舞台上で役者さんが演じるものがつぎつぎに変わったり、キャラクター本人⇔語りを交互に行う、
大道具もはしごやベンチをいろいろなものに「見立て」る演出がすごくはまって大好きなので、そのことが壁になるケースもありうるというのがむしろ「おお、そうなんだ」と思いましたが、
確かに、テレビなど、逐一セリフで説明するような表現が多いから、初体験では違和感が大きいのかもしれませんね。
そういうのはかなりの部分「なれ」だったりもするし、こういう表現を知ると、なんというか他の物を見たり感じたり(舞台に限らず)するときの自分のキャパが広がると思うんです。
だから、3回くらい観るのがいいです。ほんと。