2019年4月19日にオンエアされたレディオ湘南「palette~湘南ライフをあなた色に~」での、
劇団四季俳優近藤合歓さんのインタビューから、印象に残った個所をまとめました。
番組DJの小松田あこさんは、演劇集団キャラメルボックスに在籍していたことがある方で、現在は福島FM、レディオ湘南などラジオパーソナリティとして活躍されています。
近藤合歓さんは、初出演作品の「アンデルセン」、次の「ソング&ダンス65」どちらも拝見していますが、今までは近藤さん自身のことを知る機会がありませんでした。
ラジオインタビューでは、役の解釈やダンスのことなどのお話が聞けてよかったです。
近藤合歓さんの経歴など
小松田さん:
(近藤合歓さんを見て)わあかわいい!なんというかすごく繊細な飴細工でできているお人形みたいな。
小松田さん:
リスナーの皆さんに画像で見ていただけないのがくやしいな。
ミキサーのもえちゃんもヨーグルトって自称するくらい色が白いんですけれど、近藤さんはもっと白いですよね。
合歓さんって芸名でいらっしゃるんですか?
合歓の木の合歓で、お母さんが植物図鑑を見てそこからとったそうなんですけれど。
小松田さん:
ひらがなで「ねむ」も可愛いし、漢字だと凛とした感じもありますよね。
近藤さんは、長野県出身で、小さいころからクラシックバレエのレッスンをしていて、それでベルリンにいらっしゃったんですよね。
『パリのアメリカ人』公演プログラムの経歴によると、ベルリン国立バレエ学校で学ばれたそう。
小松田さん:
劇団四季入団以前にもドイツのバレエ団でゲスト出演したりされていたんですね。
ずっとバレエで来て、2016年に劇団四季の研究所に入所されているのですが、これは何かきっかけがあったんですか?
ドイツに3年間いたんですけれどバレエだけの舞台に立つことより、別のことに挑戦したくなったんですけれど、その時で18才だったので、そこから全く別のことって難しいだろうなあ、と思って。
私のバレエの先生が劇団四季でダンサーをしている方で、それまでのなんとなく四季の話は聞いていて、
今までやってきたことを生かしながら、歌や、やりたいことにも挑戦できるならいいなあと思ってオーディションを受けました。
小松田さん:
それで合格して、研究生ということで。
小松田さん:
実は、他の番組で劇団四季のオーディションの取材をさせてもらったことがあるんです。
どうでしたか、今までバレエの舞台に立っていて、今度はミュージカルの世界では、また1からだったんですよね?
好きだった歌もぜんぜん知らなかった専門用語を知って楽しくて、ジャズやコンテンポラリーなど経験したことのないジャンルの踊りに挑戦できるので、充実していましたね。
リズ役への挑戦について
小松田さん:
それで、2017年「アンデルセン」で初舞台を踏んで、その後「ソングアンドダンス」でダンスアンサンブルで出演されていますけれど、その後が、今年の『パリのアメリカ人』でリズ・ダッサン。
主役ですよ、これってすごいことなんじゃないですか?
小松田さん:
劇団四季で『パリのアメリカ人』を上演するにあたってはやっぱりオーディションがあったわけですよね?
主役をやるには、歌も演技もあるし、お芝居の経験もほとんどないので、舞台上でひとりでしゃべるってことをやるにはまだ早いな、って思っていたんです。
それで、オーディションの申し込みは応募する紙に自分で名前を書きに行くんですけれど、メインキャストのリズのところを見たら、もう劇団の中ですごい先輩たちの名前がたくさんあったんですね。
それを見た時にああ、やっぱりこういう方たちがやるべきだろうし、自分はまだまだ、と思っていました。
その後で、『パリのアメリカ人』について調べていたら、リズ・ダッサンがとても魅力的な役で、少しでも可能性があるなら挑戦してみたいな、と思って、勇気を出して申し込みました。
『パリのアメリカ人』作品について
若者たちの希望が描かれた作品
小松田さん:
それで、見事にリズ役を射止めたわけですが、
『パリのアメリカ人』、どんなお話なのか、近藤さんから少し説明していただけますか?
今回のミュージカルでは、戦争の直後という設定があって、リズを含めてアンサンブルも、登場人物全員が、戦争で傷ついたり大変な思いをしてつらい過去を背負っていて、
でも、それぞれが家族、夢、友情とか、愛を持って前に進んでいく物語なんです。
その中でひとりひとりがどう変わって成長していくかが見どころかな、と思うんですよね。
小松田さん:
いろんな人たちの抱えてきた戦争中の大変だったことももちろんあるんですが、
リズを通して若い青年たちの希望とかもすごく見えて、作品としてはつらい思いも見えるけれど、前に進もうとするエネルギーがすごく見える。
私もちょうど昨日拝見したんですけれど、
もちろん、作品としてはアカデミー賞もとってすごくしっかり作り込まれているし、それを舞台にするってどんな感じなのかな、と思っていたんですけれど、
舞台装置も衣装ももう、すべてがおしゃれだし、ガーシュインの曲がいっぱいで、これでもか、というくらい歌うし、踊るし。
小松田さん:
現代の演出家さんの作るミュージカルはだいたいがジャズダンスなんですけれど、『パリのアメリカ人』はバレエが主体じゃないですか。
その芸術性と、時代の何かをすごく掲げている表現の一つとしてバレエを持ってきたことがすごくリンクしていると思いました。
リズ役の魅力
小松田さん:
リズは誰もが魅了される、すごく魅力的な女性なんですが、どんな役なんでしょうか?
やっと外に出られるようになっても無意識に人との間に壁を作っていると思うんですね。
一見すると常に突っ張っている感じや暗さもあって、でももしかたら戦争の前は明るかったかもしれないし、いろんなことに興味持って、やっていきたい子だったかもしれない。
そのリズが、ジェリーという男性に出会って、他のキャラクターとも触れ合いながら、殻が1枚ずつ取れていって、彼女の魅力が出てくる、その成長がキラキラして見える、そういう女の子だと思います。
小松田さん:
ジェリーはアメリカ人で、戦争中はパリに駐留していて、戦後もパリに残ることにした男の子なんですよね。
そのジェリーとの出会いで、リズが変わっていく姿は本当に魅力的だったし、
あの時代の生きづらさってすごかったんだろうな、
でも若者っていつも愛に素直であるべきだな、と同調もしたし、いろんな思いを受け止めたお芝居でした。
バレエの魅力
小松田さん:
そう、ダンスのことをぜひ聞こうと思っていたんです。
これはもう見てもらわないとどういうことなのか分からないと思うんですけれど、とにかくテクニックが、並大抵のレベルでは・・・ダメなんですよね(笑)。
クラシックバレエの場合は、自分の軸が真ん中にあったり、片足になったらそこに、と重心移動が分かりやすいんです。
でも『パリのアメリカ人』に関してはコンテンポラリーでもジャズでもないのに、クラシックバレエではありえないような位置に重心を置くので、
ソロもですし、パートナーと合わせるところも毎日「正解が分からない」と思ってやっていましたね。
小松田さん:
振り付けの微妙な間のとりかたも見ていただきたくて、あ、そこでそのリズムを踏むんだ、とかおもしろいですよね。
小松田さん:
リズムのちょうど気持ち良いところで、その振りを持ってくるんだ、とか、リフトもすごくたくさんあってその中でのけれんみとか。
ひとつひとつがお客さんに見てもらうために完成されたもの、という感じで。
私もたくさん舞台見せていただいてきましたけれど、これは役者さんは大変だっただろうな、って。
本番が始まってからも、毎日体も違うし、本番は鏡がないですから、
鏡を見ていると確認しながら踊れるんですけれど、それを取っ払ったところで、お客さんに見せて踊るとなると、
毎日、ちょっとバランスが悪い時もあるし、今日はいいなというところにはまれたり、いまだにここ、というところに到達はしていないのも知れないです。
でもガーシュインの音楽でのあの振りは、役者たちもみんな気持ちいいね、っていいながら踊っているので。
小松田さん:
最初のリズの踊りと、最後のリズではぜんぜんちがいますよね。
あ、なんか、ぜんぜん違う人だ!みたいな。
リズって小柄な女の子なんですよね。こんなに小柄な子が最後にこんなに大きく見える、ってそのお話をぜひ観てほしいです。
最後に
小松田さん:
そろそろお時間なんですが、まだまだ、10分の1くらいしか話していない(笑)
ぜひぜひこれは生で見ていただいて、感動と、何か心のなかに生まれた光を感じてほしいですね。
最後に近藤さんから、お聞きの皆さんにメッセージをお願いします。
ぜひ一度足を運んで観ていただきたいなと思います。
観ていただくと、光もあるし、戦争のつらさも胸に残ると思うんですけれど、観てよかったな、と思っていただける作品だと思います。
KAATで8月11日まで上演しています。
ゴールデンウイーク中のチケットもまだありますので、ぜひお買い求めください。
小松田さん:
KAATも上演しやすそうですね。
小松田さん:
観たことがない人は、私みんなに言っているんですけど、もう、ほんと1回観てください。
観たら2回、3回観たくなります。
私も、この前はちょうど近藤さんではなかったので、また近藤さんが出演されている時に観に行きたいと思います。
けがなど気をつけて、素敵な舞台を千穐楽まで駆け抜けていただきたいと思います。
感想まとめ
最近、四季俳優さんのラジオインタビューはたいてい、聞き手の方が素敵なんですけれど、小松田さんもそうで、聞いていて楽しかったです。
私は今は観劇はほぼ四季しか観ていませんが、
その昔はキャラメルボックスとか観劇していたなあ、とちょっと思い出しました。
やはりご自身が舞台に関わっている方なので、
キャタクターの造形やダンス表現の見方も、芝居として見られているなあ、と感じました。
近藤さんはリズのそのままの、可愛らしいイメージの声と話し方でした。
『パリのアメリカ人』はすごい悪人が登場したり大きな事件でドラマが激しくアップダウンするタイプの作品ではなく、わりとお話としてはさらっとした感じで進んでいくんですが、
近藤さんが話されていたように、アンサンブルも、「登場人物全員が、戦争で傷ついたり大変な思いをしてつらい過去を背負っていて」と思って、場面を思い返すと、
とても愛おしく思える、素敵な作品だな、と改めて感じました。
近藤さんが出演されている日の観劇メモです。