劇団四季ファミリーミュージカル「ガンバの大冒険」は、1976年の初演以来、何度も再演を繰り返している人気作品です。
私自身、2003年に、文京シビックホールでの公演を観て以来、何度もリピートしています。
原作の児童文学、テレビアニメまたアニメ映画でも親しまれている「ガンバの大冒険」ですが、劇団四季のファミリーミュージカル「ガンバの冒険」の見どころはどこなのか、まとめました。お子さん一緒に楽しめて、または大人だけで観に行っても楽しい作品です。
ファミリーミュージカルは何才から観られるの?どこで上演しているの?などについてはこちらにまとめました。
こちらの記事は、公演プログラムに書かれているあらすじ以上のネタバレは含みません。
タップして飛べる目次
劇団四季ファミリーミュージカル「ガンバの大冒険」ってどんな作品?
「ガンバの大冒険」の原作は斎藤惇夫が書いた児童文学「冒険者たち―ガンバと15ひきの仲間」。
1975年にテレビアニメ化され、最近も映画化されていますね。
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主人公の町ネズミ・ガンバと、彼の仲間の船乗りネズミ、島に住むネズミたちと、
イタチのノロイ一族の戦いを描いた冒険ものです。
「ガンバの大冒険」のあらすじ
人間の家の地下貯蔵庫をすみかに、のんびり暮らしていた町ネズミのガンバ。今の暮らしに不満はないけれど、何か大きくて広いものへのあこがれをいただいてます。
そんなある日、ガンバは友だちのマンプクに誘われて、船乗りネズミのパーティに出かけます。そこに担ぎ込まれてきた島ネズミの忠太から、イタチのノロイ一族に占拠された島の窮状を聞いて、島ネズミたちを助けに行こうと決心します。
仲間は、ヨイショ、マンプク、イカサマ、ガクシャ、シジン、バレット、ボンヤリ、そして記憶がない、という年寄りネズミのオイボレです。
島に着いてすぐに、ガンバたちは、ノロイ一族に妻子を惨殺されたというオオミズナギドリのツブリたちと共闘の約束をします。そして、忠太の父と姉の潮路、友だちの七郎と合流することができました。ガンバと潮路はお互いにひかれあいます。
ノロイ一族はすぐそこまで迫っており、イカサマはサイコロを振って「仲間のうち3人が死ぬ」という予言をします。
ガンバ達の命がけの冒険の行方は・・・
「ガンバの大冒険」のキャラクター
ガンバ:この物語の主人公。仲間思いで勇気のある町ネズミ。町の住処でのんびり暮らしていたが、どこか物足りない思いを抱いていた。
マンプク:ガンバの友だちの食いしん坊で太った町ネズミ。
ヨイショ:力自慢の船乗りネズミ
ガクシャ:頭がよく、水先案内・医者もこなす船乗りネズミ
イカサマ:いつもサイコロを振って先行きを決める船乗りネズミ、意外と面倒見が良い(男性役ですが、女性が演じます)
バレット:ダンスが得意な船乗りネズミ(男性役ですが、女性が演じます)
シジン: いつも夢を見ているように詩のような言葉で語る船乗りネズミ
イダテン:足の速い船乗りネズミ
ボンヤリ:港ネズミ。ぼんやりしているためいつもみんなからワンテンポ遅れている。海に憧れている。
オイボレ:冒険に出発するときに突然現れた年寄りネズミ。名前や過去は忘れた、というため、ヨイショが「オイボレ」と名付けた。
忠太:夢見が島に住む島ネズミの若者。ノロイ一族に占拠された島を大けがをしながら抜け出し、ガンバ達に助けを求める。
潮路:忠太の姉。芯のしっかりした優しい女性。
七郎:忠太の友だちの島ネズミ。島に突然現れたガンバたちに反発して対立する。
忠太の父:潮路と忠太の父親で気のいい島ネズミ。島の言い伝えをガクシャに伝える。
ツブリ: オオミズナギドリの群れのリーダー。ガンバ達と共同戦線を張る約束をする。
ノロイ: イタチのボス。捕食を目的としない殺戮を楽しむ残忍さを持ち、催眠術のような不思議な踊りで相手をおびき寄せる。
原作とのキャラクターの違い違い(主なもの)
原作:ボーボ 舞台:ボンヤリ と名前が違っている。
ジャンプ、アナホリ、カリック、オリュウが舞台には登場しない
舞台ではイダテンは船乗りネズミのパーティにのみ登場し、島にはいかない
ファミリーミュージカルは上演時間が2時間(休憩15分を含む)と短いので、まとめるためにキャラクターの数が原作よりも減っているのでしょう。
またシジンが詩を詠唱してノロイの催眠術攻撃を撃退する、というエピソードは舞台にはなく、シジンの位置づけがちょっと弱いかなあ、とは感じました。
でも衣装、ポーズ、口調などで、各キャラクターの特徴を打ち出して、決して精鋭ぞろいではないネズミたちが力を合わせて大きな困難に立ち向かう、という様子はよく表されています。
劇団四季ファミリーミュージカル「ガンバの大冒険」の見どころ
見どころ1・ハラハラさせられる冒険のストーリー
登場人物が複数亡くなる、というハード展開の「ガンバの大冒険」ですが、もちろんファミリーミュージカルなので、小さなお子さんでも楽しめるように演出されています。
コミカルな場面や、ガンバと潮路のロマンティックな場面など、楽しい要素もたくさんあります。
ファミリーミュージカルでは「一緒に歌って主人公たちを応援する」という演出が多いのですが、「ガンバの大冒険」には「一緒に歌う」場面はありません。
舞台の上のガンバ達の死闘を、ハラハラしながら見守る、という感じです。
見どころ2・空間の広がりが感じられるステージング
ファミリーミュージカルは、全国巡業公演で、1日のうちに仕込み、公演、バラシを行うこともあるので、セットはとてもシンプルです。それでも、ガンバが初めて海に出たときに、朝の光を浴びる場面など、空間の広がりを感じられる素晴らしいステージングだと思います。
見どころ3・親しみやすい音楽
これは「見どころ」じゃなく「聴きどころ」ですね(笑)。
「ガンバの大冒険」の作曲はいずみ たく氏です。
メインテーマの「行こうよ 仲間たち」は、実は旋律が難しいのですが(苦笑)、学校で習った人もいるかもしれませんね。
観劇の帰りにはきっと口ずさんでいると思います。
「これはお話」と区切りが付けられること
ノロイ一族は、「聖飢魔Ⅱ」のようなメイクと衣装で、大人の目からするとユニークなのですが、子どもたちには本当に怖いらしくお見送りの時も近くに行かれない子もいます。
でも、「ガンバの大冒険」に限らず、ファミリーミュージカルのよいところは、カーテンコールとロビーでのお見送りで、悪役も死んだ人も笑顔で現れることで
「さっきのはお話なんだな」
と、気持ちを新たにできることだと思います。この点は別の作品についてではありますが、以前四季の会会報誌「ラ・アルプ」の記事で、スタジオジブリの人が指摘されていました。
ロビーでは、さっきまで舞台にいたキャラクターたちがお見送りをしてくれますので、
ぜひ、ハイタッチや握手で「ありがとう」「さよなら」をつたえてくださいね。
劇団四季ファミリーミュージカル「ガンバの大冒険」の動画
ビジュアルや音楽のイメージは、公式PVでどうぞ。
劇団四季ファミリーミュージカル「ガンバの大冒険」のみどころ まとめ
原作者の斎藤惇夫さんが原作に込めたメッセージは、
生きていく中では、自分の力ではどうにもならない大きな壁にぶつかることや、愛した人と悲しい別れを迎えるときがあるが、ガンバのように大きな壁に立ち向かい、乗り越えてゆく勇気を失わず、どんなときも前を向いて、人生という大海を自由に旅してほしい
というものだそうです。
ファミリーミュージカルは、実は、見る側に答えがゆだねられている作品が多くて、
この「ガンバの大冒険」でも、ガンバのように生きるか死ぬか、という状況に自ら飛び込んでいくことや、オイボレの行動など、捉え方はいろいろあると思います。
ぜひ、見終わった後は、お子さんと話し合ってみていただきたいですね。
「ガンバの大冒険」劇団公式サイトの作品紹介ページ
https://www.shiki.jp/applause/gamba/
私が観劇した時の感想はこちらにまとめています。
大人の目線ではありますが、良かったら参考にしてみてください。