劇団四季ファミリーミュージカル「魔法をすてたマジョリン」は、1982年(昭和57年)に日生名作劇場として初演されました。
それから何度も再演されている演目で、私も初めて観た劇団四季の舞台は、児童招待公演の「魔法をすてたマジョリン」です。
大人になってから最初に見たのは、2005年の全国公演。
マジョリン:真鍋奈津美さん、ダビッド:望月龍平さん、ニラミンコ:味方隆司さん
でした。
共感・感情移入できるキャララクターたち
学校の授業でも取り上げられる親しみやすい曲
客席参加型の演出
ダイナミックなダンスやフライング
ストーリーのあるお話を楽しめるようになっていれば、小さなお子さんも見ることができますし、
大人になってから観ると、視点が変わって、ブツクサスやニラミンコといった大人キャラクターに共感できる点もあります。
一緒に見た友だちは、「ギャグが昭和っぽいところは大人の方が受けるかも(笑)」と言っていました。
ファミリーミュージカルは何才から観られるの?どこで上演しているの?などについてはこちらにまとめました。
こちらの記事は、公演プログラムに書かれているあらすじ以上のネタバレは含みません。
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劇団四季ファミリーミュージカル「魔法をすてたマジョリン」ってどんな作品?
今の劇団四季公式サイトの作品紹介や、公演プログラムには、「原作」という記載がないのですが、
過去に、四季の会会報誌「ラ・アルプ」か、公演プログラムに、
「小さい魔女」(オトフリート・プロイスラー)が原作である
といった情報が載っていたように記憶しています。
「小さい魔女」の書版は1965年なので、「魔法をすてたマジョリン」」の初演よりも前ですし、ストーリーは
でも「良い魔女」って何だろう・・・?小さい魔女は失敗しながら、人助けをすると自分も嬉しくなる、ということに気が付いていき、「良い魔女」「悪い魔女」という他人の評価に囚われず、自分がなりたい自分ととして生きていくことを選びます。
というもので、「魔法をすてたマジョリン」の大筋とかなり重なります。
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劇団四季ファミリーミュージカル「魔法をすてたマジョリン」あらすじ
マジョリンは123才、魔女の世界ではまだ小学生。
おばあさんもおかあさんも早く死んでしまったので、マジョリンはカラスのばあや・ブツクサスに育てられました。
好奇心の強いマジョリンは、子どもは行ってはいけない、「魔女の夜祭り」に忍び込んで見つかってしまい、罰として、「刻んで、絞って、カクテルの材料に」されそうになりますが、魔女のリーダー・オカシラスは、1週間後の検定試験に合格すれば許す、と条件を付けます。
マジョリンを魔女らしい魔女に教育する役を押し付けられた(笑)のはニラミンコ。
「1日1悪」の精神で、魔法で村人を困らせるようにニラミンコに言われたマジョリンは、タツロットの結婚のお祝いをめちゃめちゃにしてしまいます。
ところがダビッドという青年が、魔女の疑いをかけられたおばあさんと孫のステファンをかばうのを見たマジョリンは、不思議な気持ちになります。
ダビッドに、「君は本当に悪いことをするのが楽しいの?」と問いかけられたマジョリンは、ダビッドを助けるために本物の魔女は自分だ、と村人たちに正体を明かして森に逃げていきます。
とうとう、明日は試験。でもマジョリンはダビッドのことが気になって勉強に集中できません。
そんな時、ステファンの病気を治すため、薬草を探して迷い込んできたダビッドに会ったマジョリンは、掟を破って魔の山に薬草を取りに行くことを決心します・・・
「魔法をすてたマジョリン」のキャラクター
マジョリン:123才の魔女の小学生。素直で行動力のある女の子。「友だち」を持つことに憧れている。
ブツクサス:マジョリンのおばあさん、おかあさんも世話していた太っちょカラスのばあや。
ダビッド:村はずれの家に一人で暮らしている心の優しい人間の若者。
ニラミンコ:オカシラスにマジョリンの教育係を言いつけられた魔女。
オカシラス:冷酷な魔女のリーダー。実はマジョリンの素直な明るさを恐れている。
タツロット:ダビッドの友人。マジョリンの魔法のせいで結婚のお祝いも、新築の家もめちゃめちゃになってしまう。
プレッツェルばあさんとステファン:ステファンの病気を治すために旅をしている。
「魔法をすてたマジョリン」のテーマ
原作(だと思われる)「小さい魔女」では、
まわりの評価に左右されず、自分らしい生き方を見つけること
に主軸が置かれていますが、
劇団四季ファミリーミュージカル「魔法をすてたマジョリン」のテーマは
思いやりの心や助け合うことの大切さ
です。
悪いことをするのが良い・「仲悪し」が良い、とされる魔女の世界で育ったマジョリンと人間との交流を通して、人間には弱いところもあるけれど、人間同士が思いやりを持って協力し合うことで大きな力を発揮することができる、ということを描いています。そして、本当に恐れるべきは魔女ではなく、魔女に力を与えてしまう人間の心のダークサイドだということも。
魔法をすてたマジョリンの見どころ
ビジュアルや音楽のイメージは、ぜひ公式PV動画を見てくださいね。
共感・感情移入できるキャララクターたち
主人公のマジョリンは、123才ですが、魔女の世界では小学生。
ダビッドに恋心を抱くことからすると、人間でいうと10才くらいかな、と思います。
ファミリーミュージカルの主人公は、大人であったり、子どもでも屈折していたりすることが意外と多いんですけれど、その中で、マジョリンは決められた勉強や課題をこなすのは苦手な半面、好奇心旺盛で行動力がある女の子で、子どもに人気があるマンガやアニメのキャラクターに重なるところも多いです。
一方で、大人の立場からは、いつもマジョリンを心配しているばあや・ブツクサスや、お目付け役のニラミンコに共感する点も多いのはないかと思います。
人間とは対立する価値観で生きている魔女ですが、ニラミンコは単なる悪役というわけでもなく、彼女は彼女なりにマジョリンを何とかしてやらなくては、と考えていて、意外と面倒見がいいのです。
親しみやすい音楽
「魔法をすてたマジョリン」のメインテーマ「心から心へ」を、小学校の音楽の授業で習ったことがある人、マジョリンの曲だとは知らずに、曲だけ知っていたということもあるみたいですね。
「君の手と 僕の手を かたくにぎりー♪」
という歌詞に見覚えはないですか?
曲だけではなく、「魔法をすてたマジョリン」は、小学校の学芸会で主に高学年が上演するお芝居として、選ばれることも多い作品です。
小学校の学芸会なので、お話が短くなっていたり、マジョリン役が何人もいたりするようですが、子どもたちにとっては、自分が関わったことがあったり、上級生がやっているのを見たことがあったり、というのは、親しみやすいですね。
そのほかの曲も覚えやすくて、きっと帰り道で口ずさんでいる子がたくさんいると思います^^
私は、児童招待公演に行く前に、学校で「心から心へ」を練習していったのですが、劇中で一度聞いただけの「魔女の数え歌」と「魔女の生きる道」を、何年も経ってから自然に歌えたのでびっくりしました。
客席参加型の演出
「魔法をすてたマジョリン」では、
マジョリン、ブツクサス、ニラミンコが客席に呼びかけてくる場面がある
クライマックスでマジョリンや村の人を応戦するために客席が一緒に歌う場面があり、歌の練習もする
などの客席参加型の演出が多く盛り込まれています。
(すべてのファミリーミュージカルで客席参加の演出があるわけではなく、「嵐の中の子どもたち」「ガンバの大冒険」などにはありません)
お芝居の中でキャラクターから直接「どう思う?」と問いかけられたり、歌って応援することで客席も一緒に場面を作っていくことになるので、作品の世界に入りやすいです。。
ファミリーミュージカル作品恒例の終演後ロビーでのお見送りは、「魔法をすてたマジョリン」でも行われますので、お気に入りのキャラクターとぜひ近くで会ってくださいね。
ダイナミックなダンスやフライング
魔の山の魔女たちのダンスシーンはバレエテニックも多く使われていて、特に迫力があります。
ニラミンコ・キキミミラ・ハナピクリの3人が手をつないで「白鳥の湖」の「4羽の白鳥」のようにパディシャするところは、コミカルですが実はすごくきれい。
また、マジョリンが空を飛ぶ場面では、シンプルですがフライング技術が使われています。
劇団四季ファミリーミュージカル「魔法をすてたマジョリン」はここが楽しい! まとめ
「魔法をすてたマジョリン」は、現代的なキャラクターの主人公マジョリン、個性的な魔女たち、フライングなど、初演から40年近くたっているとは思えないくらい、今のマンガやアニメにも通じる楽しさがあって、多くのファミリーミュージカル作品の中でも、子どもたちが親しみやすいお話だと思います。
お話の中での価値観は、わりとシンプルに「人間の良き面」を肯定しているのですが、
アニメや特撮で怪獣や怪人にも人気があるように、魔女のキャラクターがお気に入りになる子どももいるみたいですよ。
ロビーのお見送りでは魔女たちの凝った衣装をまぢかで見られるのも楽しいです。