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劇団四季ファミリーミュージカル「魔法をすてたマジョリン」2018年8月13日武蔵野公演観劇メモ

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劇団四季ァミリーミュージカル「魔法をすてたマジョリン」2018年8月13日武蔵野市民文化会館での公演を観たときの感想やキャストをまとめました。

※2018年4月21日相模大野グリーンホールの公演も観ているので、その時も感想も少し入ります。

※感想はネタバレ込みです。

(過去に書いた観劇メモを再編集しました。基本的に、その当時、感じたように書いています)

あらすじや作品の見どころはこちらにまとめました。

子供と行きたい・劇団四季ファミリーミュージカル「魔法をすてたマジョリン」はここが楽しい!劇団四季ファミリーミュージカル「魔法をすてたマジョリン」は、1982年(昭和57年)に日生名作劇場として初演されました。 それから何度...

劇団四季ファミリーミュージカル「魔法をすてたマジョリン」2018年8月13日のキャスト

マジョリン 志賀ひかる プレッツェルばあさん 大橋信予
ブツクサス 小林英恵 ステファン 長谷川彩乃
ニラミンコ 大塚道人 タツロット 東 泰久
ダビッド 武藤洸次 花嫁 染谷早紀
オカシラス 前田貞一郎
男性アンサンブル 女性アンサンブル
塩地 仁 山脇麻衣
影山 徹 田辺恵都
高畑 翼 榊山玲子
神田 瞬 前田更紗
濱中湧大 大寺葉月
服部知佳美
青柳絵里奈
藤原加奈子

劇団四季ファミリーミュージカル「魔法をすてたマジョリン」2018年8月13日の観劇感想

この日は、以前何度か劇団四季の作品を一緒に見たことがある友だちと、別の友だちとそのお子さん(小学校4年生の男の子)といっしょに4人で観劇しました。

友だちのお子さんは、昨年、学芸会で6年生が上演した「魔法をすてたマジョリン」を観たそう。

武蔵野市民文化会館は、昨年リニューアルオープンした、とのことで、

椅子はコトブキシーティング製、客席が千鳥配列で、

1階客席後方に劇団四季専用劇場の親子観劇室のようなガラス張りの部屋があったり、
トイレが劇場四季専用劇場と同じように一方通行で運用されていたり、

公共ホールとしてはとても充実した設備でした。

劇団四季の全国公演は、各地自治体のホールで行われるので、地元や行きやすい場所で観られるというメリットの一方で、施設によって観劇環境の差が大きい、というデメリットもあるのですが、今後、武蔵野市民文化会館での公演は積極的に選ぼうと思います(^^)

この日のタイトルロール、マジョリン役は志賀ひかるさん。

相模大野公演の時の生形理菜さんは、見るからに女の子っぽく、無自覚の小悪魔っぽい可愛さがあるタイプ。
志賀さんはより子どもらしく、ぱっと見では男の子っぽく思えますが、芯の女の子らしさが垣間見えるところがチャーミングです。

ダビッド役の武藤さんは、「嵐の中の子どもたち」パック役で見たことがあります。ニラミンコやブツクサスがいうダビッドの「優男」感が見た目にストレートに出ているような、今どきな、スリムで小顔の方ですね。
ソロの歌は初めて聞いたのですが、柔らかいいい声で、いつか『リトルマーメイド』エリック王子役などで観たいなと思いました。

この作品、ダビッドの底なしの人間に対する信頼感が、嘘や押しつけがましく見えたら台無しなんですけれど、武藤さんのダビッドは「人を信じる強さ」が奥に感じられます。

ダビッドは、プレッツェルばあさんとステファンをかばうために、自分が魔女の手先だと嘘をついて捉えられ、火あぶりにされることになります。

ダビッドは村の人たちを、一時的には頭に血が上ってもきっと分かってくれると信頼していたのだろうし、一方で死を覚悟してもいたはずで、それでもおばあさんと子供を見殺しにはできない、と思っての行動なんですよね。

「魔法をすてたマジョリン」は全体に笑える部分が多いし、あまり深刻にならずに展開します。

ダビッドが殺されそうになる場面も、わりとすぐにマジョリンがダビッドを助けるので、観ている時にはあまりひっかかりはないのですが、
「おそれ」や「憎しみ」にとらわれると、ついさっきまで友だちだったダビッドを「魔女だ」と決めつけて殺そうとする人間の、恐ろしい面も描かれており、
マジョリンは

「驚いた、人間って、魔女より怖いのね。」

と言います。

そして、そんな目にあったのに、「自分が本当の魔女だ」と告白したマジョリンに「君は本当に人を困らせるのが楽しいの?」と問いかけ、魔女の心にも愛ややさしさがあるはずだ、と言うダビッド。すごすぎる。

マジョリンとダビッドの関係は、物語の中では、マジョリンの側からは憧れ+恋心がありつつも、「友だち」にとどまります。

ただ、最初は人間としては「おとな」に入る年であるダビッドが、マジョリンが知らない価値観を教える立場として彼女をリードしていますが、2幕では、マジョリンがダビッドの想定を超える行動をとります。
マジョリンは子どもと言っても人間の寿命より長く生きているわけですから、この物語の後の2人の関係はどうなるのか、気になります。

そして、このお芝居のおもしろさは、実は、敵方のニラミンコにかかっているんですよ。

大人になってから観た公演では、ずっと味方隆司さんがニラミンコで、今回初めて、他の方のニラミンコを観たんですけれど、味方さんは格好いい系。今回の大塚道人さんはもうちょっとお笑い寄り。

ブツクサスに「あの子わね、ああいうタチなのよ」と言うところのおばちゃん感がたまりません(笑)。
会場の子どもたちにも受けていましたが、ニラミンコやブツクサスの笑いは昭和のドリフな感じなので、「あれは親の方が笑っていると思う」というのが友達の感想(笑)。

大塚さん、なんどか『ライオンキング』バンザイ、ティモン役で観たことがあるんですが、どちらの役もここまでコメディな要素はないので、新鮮でした。

ニラミンコは、魔女の価値観の中で、「良い魔女」として一生懸命生きてきたんですよね。

マジョリンに「どうして魔女は悪いことしかしちゃいけないの?おばさんは一度も疑問に思ったことはない?」と正面から尋ねられて、ニラミンコが「そりゃあね、私だって揺れたこともありましたよ」という場面は笑いに寄せていますが、あの後、魔女たちはどうなったのか、は気になります。

「魔法をすてたマジョリン」では、

思いやりの心、愛、など普段そのまま口にするのは気恥ずかしいような言葉が、すがすがしいくらい堂々と歌詞やセリフに出てくる一方で、「魔女の生きる道」や「魔女の数え歌」は、「悪い」ことも堂々と歌っていて、ああいう、悪いを口にする楽しさ、って子どもは惹かれるだろうし、実は大人もくすぐられるところではありますよね。
だから、クライマックスの歌合戦の場面で、マジョリンたちではなく、魔女を応援しちゃう子もいる、というのは分かる(以前、四季の会会報誌「ラ・アルプ」でマジョリン役の俳優さんの対談で、そういうことがある、という話が出ていました)

この日の公演は、高見さん、岩村さん、の男性バレエダンサーキャスト(昨年「アンデルセン」に出演されていました)はいなかったのですが、みなさん、魔女の夜祭などのダンスはきれっきれでした。
昔、それこそ15年くらい前は、ファミリーミュージカルの振り付けはシンプルめなこともあって、ダンス好きにはちょっとものたりないかなあ、と思ったこともあるんですが、今はぜんぜんそんなことはないです。

終演後、ロビー見送りの時の、お客さんの動線がちょっと変なことになっていて、出口側のお客さんが奥に戻ってきたりしていてかなり混雑してしまいました。
直接ご挨拶したのはステファン役の長谷川さんと、女性アンサンブルのハナピクリの方。
ダビッドの武藤さんは少し離れたところから見ただけなんですが、近くで拝見すると本当にお顔が小さい。・・・というか、四季の俳優さん、たいていの方が近くで見ると、舞台で見る印象より小顔なんですよね。
発声で顔の筋肉をたくさん使っているからかもしれません。

友だちは、一番印象が強かったニラミンコに会いたい、といっていてそれがかなったそうなので、よかったです。

一緒に観劇した友だちのお子さんの小学生は「迫力がすごい。6年生とぜんぜん違う」という感想。
お話も学芸会とは少し違ったようなのですが、小学生の説明なので、どう違ったのかはちょっと分からなかった・・・

観劇メモを振り返ってみて

改めて、「魔法をすてたマジョリン」は、ファミリーミュージカル中でもとりわけバランスが取れていて、客席へのアプローチも含めて、構成が良くできている作品だな、と思います。

ところで、タイトルの「魔法をすてたマジョリン」ですが、ラストシーンで、本当にマジョリンが魔法を使わない人間になったのか?は実は明言されていません。

ただ、恐ろしい魔の山が、緑があふれる豊かな山に変わり、ステファンに「マジョリンが魔法でやってくれたんだね」と言われて、マジョリンは、

「私の魔法じゃない。みんなの心が、山を緑にしたのよ」

と言い、魔法の力でなくても、大きな変化は起こせる、ということが表されているだけです。

「魔法をすてた」はマジョリンが、魔法と人間同士のつながりの、どちらを選んだか、という意味なのかもしれません。

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